証券ビュー

企業レポート

3Q連結確り スズケン 2月22日 (2018.02.21)

薬価制度の改革本格化 
原点受け継がれ販管費改善と協業 
企業HPご案内   前回の企業レポート
 スズケン(9987)は連結確り。3Qまで営業増益を確保し年度末の追い込み。来期の助走に入った。昨年11月24日と2月5日の修正発表によるもので、昨年8月28日に希望退職者募集350人に対し423人。同10月13日の150人にも174人が応募。有価証券売却益60億4600万円を計上し新たな局面に備えた。2018年度以降、薬価制度の改革本格化。需給推計からここ数年市場がほとんど伸びないと予想され、厳変(げきへん)の時代という。1932年カリスマ創業者の購買代行に始まり、全員参加経営に脱皮。昨年85周年を契機にグループの抜本的な改革に乗り出した。前回述べた中期成長戦略「One Suzuken 2019」によるもので、ダイナミックな販管費の改善に協業、取引から取組に収益モデルの転換が骨子。新年度長期収載品が下がり大手医薬品メーカーのリストラが広がる見込み。待ったなしだ。新薬加算も縮小だけに手厳しい。薬価のほか、診療・調剤・介護報酬改定に来年10月消費税引き上げも控えている。しかし、前戦略「同 2016」が準備期間となり、宮田社長(57)をはじめ新体制の経過順調。これなら市場や国の制度が激変し、スピードアップしても大丈夫。直近2期、ギリアド社のC型肝炎治療薬2剤と良好な関係にある小野薬品(4528)の「オプジーボ」取扱で市場の構造変化を10~20年先取りした印象。収益でも貢献した。目をひくのが協業。一つがキュービックス。高額医薬品にICタグをつけ、オンラインで温度・在庫管理できるRFID搭載の冷蔵庫システム。昨年9月ヤマト科学と資本業務提携し、4月から全国展開に入る予定。日本初のレントゲン管球を開発・製造した会社で、医薬品メーカーに共同提案できる上、物流面でも業務拡大が見込まれる。もうひとつがEPSホールディングス(4282)。治験や流通、市販後調査などワンストップ受託モデルの構築。国内のほか中国や東南アジアにも共通する基盤インフラで、上市される医薬品の受託獲得を目指す一気通貫モデルといわれる。デンマークのノボノルディスクファーマと緊急薬の物流スキームも伝えられ、10~20年後の手を打ち始めた。2032年(100周年)、次の100年を巡るもので不易流行。世のため人のため、お得意さまに学ぶ創業の原点が受け継がれている。メーカー系列でなく独立系ゆえの魅力。新年度が決め手。来期ものにすると、朝日のあたる会社になりそうだ。
 2018年3月期(連結)は、売上高2兆1115億円(0.7%減)、営業利益136億円(27.3%減)、経常利益229億5000万円(17.3%減)、純利益158億5000万円(25.6%減)に見直した。3Q累計で売上高76.59%、営業利益102.72%、経常利益92.23%の進捗率。さらに上方修正が見込まれる。配当54円(期末27円)を据え置く予定。設備投資165億円(前期142億円)の計画。会社と社長が同運。あと1年泣くと笑う時がやってくる。

>>購読ご案内