「眼に残る親の若さよ年の暮」 太祇 (2017.12.15)
昭和の風林史(昭和五四年十二月十日掲載分)
輸大は天井した 円高には勝てない
円高基調が続く以上は輸入商品の下落は必至だ。
特に輸大、ゴム、精糖は
天井しているから戻り売り。
「眼に残る親の若さよ年の暮 太祇」
今年の5月1日付け『日本経済新聞』12面
〝経済教室〟に筑波大学の坂倉省吾教授が
円相場について書かれていた。
そしてその予測が見事に的中している。
即ち、円は二百五十円あたりまで
下げたあと反騰に転じ、
来年にかけて百八十六円まで高くなる―と。
坂倉理論は、
システム・ダイナミックス・シミュレーション
による円相場の予測である。
坂倉教授は円相場を動かすメカニズムについて、
昨年11月5日の日本経済新聞〝経済教室〟で
論文を書かれ、俄然注目された人である。
そして、円安の最大原因が石油にある
と見るのは正しくない―としている。
詳しくは、日経縮刷版を御覧になるとよい。
要するに、五月の時点で円は
二百五十円まで下げてそれから反騰に転じ、
来年の夏頃には
一㌦百八十六円あたりまで行く―
という予想を重視したい。
昨年11月に教授が予測したケースと、
その後の円相場の推移グラフは、
まさしくピッタリであるし、
本年五月における、その後の
相場変動予測も実に見事である。
その限りでは、これからの円高は、
二百円割れ→一㌦百八十円台という方向に
進むと考えてもよいのではなかろうか。
ともかく注目される貴重な論文である。
週末の輸入大豆は売り玉の利食いが先行した。
高値で買いついた玉は
アッという間に引かされ、
まだこれの投げはない。
随分安いところの売り玉を
辛抱してきた人もいる。
為替が一㌦二百三十円→二十円と、
急騰傾向だし、シカゴが、やはり頭重い。
ブラジルの作付けも問題なく順調。
要は国内需給であるが、
相場の流れというものは、
人気が支配するだけに、
ひとたび天井を打てば、
下げ波動に抵抗出来ない。
とりあえず上げ幅の
半値下げ五百円幅の下げと見る。
小豆相場は、
北海道の先限で四千円あたりまでは
相場を潰したくないみたいだ。
ホクレンあたりは、
ヘッジした玉はそのままで、
ある程度相場が戻したあたりで
再び売るつもりだろう。
農家も安値で仕切ってこない。
しばらくは、円高基調が続くと見て、
天井した国際商品を
売っていけばよいのではないか。
●編集部註
神田に芳賀書店という老舗の本屋がある。
そこの当代は経営のけの字、
経済のけの字も知らぬまま
店を継いだという。
一念発起した当代は、
日経新聞の〝経済教室〟を毎朝読んで勉強し、
知識を蓄え、持ち前の才覚もあって
左前の家業を建て直したのだとか。