昭和の風林史(昭和五四年十一月十四日掲載分)
輸大香港も活況 制限値幅なしの機能
輸大は売り大手が踏んできた。
為替と期近の玉薄が相場に火をつけた。
香港も活況を呈す。
「短日やされどあかるき水の上 万太郎」
連日の円安で商品市場の輸入商品相場は
騒然としている。
日本の政治に空白が、およそ一カ月あった。
ポッカリあいた政治の空白分が、
とりもなおさず今の円安で象徴されている。
半値押しの二百四十二円で止まるべきものが、
余分に行き過ぎて、
三分の二押し二百六十四円は、
時の勢いという事になる。
輸入大豆は煎れが出ている。
『関西の人は実によく相場を見る』
―と言われるが、東京の輸大自社玉が、買
いより売りが多かったのに大阪は、
早くから売り買いほぼ同じであった。
それがここに来て売りより買いが随分多い。
反面、大阪の小豆自社玉は、
圧倒的な売りである。
このあたりに、
小豆相場の下値不安が残る。
ともかく、師走を控えて穀取市場は
輸大さまさま大豆大明神である。
出来高増大、捨てる神ありゃ拾う神あり。
さしものマルモト千九百六十枚売りが
鳴動しだした。
いかな御堂筋の小鬼でも、
泣く子と地頭ではない、
為替と中国には勝てない。
香港市場も東京大豆に刺激されて、
連日大商盛である。
東京がS高で商いストップなら、
ストップ制限のない香港市場に
場勘へッジの玉が流れ、
結構香港の取引所が機能する。
香港13日輸大相場前2節
2月限…一〇四80比20高
3月限…一一〇60比20高
4月限…一〇八60比40高
(単位香港ドル・セント比較前日比セント)。
この日、為替は
一香港ドルスポット四九ドル12セント。
昼時分は50ドルを越えているから
日本円にすると、
日本時間午前10時50分一節二月限が
五千二百四十円(東穀一節五千二百三十円)。
三月限五千五百二十五円(同五千二百円)。
四月限五千四百三十円(同五千二百六十円)で
三、四限が東穀の上ザヤを買っている。
(三限が天狗になっているのは
オープン第一節の時点からである)。
手数料(片道一枚90㌦)も証拠金も
取引所は一応参考として表示しているが
個々の会員と相談で決めればよい。
ともあれ、最終節は日本時間の15時50分だから
日本の引けあとは香港に玉が流れる。
目下、エース交易と岡地のテレックスが
相場を入れているから香港マーケットに
関心を持つ人は注文を取りつぐかどうか
問い合せてみるとよい。
●編集部註
リスクをとる事の大切さと恐ろしさ、
リスクをとった勝者を称え、
敗者を労わるやさしさを、
この頃から教育プログラムに入れておけば、
現在はもうちょっと違った世の中に
なっていたような気がする。
上記の文章にリスクをとる者たちの
キラキラが行間に出ている。