証券ビュー

企業レポート

340年の暖簾 岡谷鋼機      1月4日 (2011.12.31)

レポートスペシャル

失った流れ取り戻す

未達の中期計画に追い風

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岡谷鋼機(7485)は1、2Q予想以上。3Q堅調な模様で4Q追い込みの真っ只中。リーマンショックで失った流れを取り戻した。今期は震災、原発事故、節電、円高、タイ洪水、TPPなど何でもござれ。どれも前向きに消化吸収。7月5日予想発表、9月28日の上方修正が手掛かりだ。リーマンショックを受けて昨年2月に終了した中期計画Gih‐10(ジーダッシュテン)が未達。再び連結売上高1兆円、純益100億円を掲げ、2015年度実現を目指すもの。震災に見舞われGih‐15に切り替えた。通過点を2013年度とし、それぞれ8000億円、80億円、海外取引30%が目安。今期の実績が通過点を左右するためだ。決勝進出には予選通過が不可欠。2011年5月26日の役員人事が決意表明になった。骨子はGlobal(海外取引拡大)、Innovation(技術革新)、Human(人材育成)の三つ。成熟した国内市場のシェア上昇も見どころ。09年に創業340年を数え、10年がかり新旧交代を促す位相に入った。2Q連結累計によると、鉄鋼44%、情報電機23%、産業資材24%、生活産業9%の構成。今後40%、25%、同、10%がめどという。フロンティアはアジア。1972年中国から友好商社の認定を受け、74年タイ現法、82年シンガポール現法、83年香港現法立ち上げ。2011年ベトナム、インドネシア現法も名乗りをあげ40年のステップ。10月タイ洪水に見舞われ、当事者能力が評価されると取引拡大も考えられる。直接被害こそ売上高20億円、利益数億円といわれるが、12月操業再開により自動車関連巻き返し。取り戻す見込みだ。それより、グループ6社駐在員家族29人の安全を確保。再開にこぎつけたのが大きい。ベトナムは心証がよく勤勉だが、人口が8400万人にとどまり労働力不足が懸念される。かつてオランダを追い出した親和性と人口2億3000万人のインドネシア。トヨタ進出が決まり次の幕が上がりそうだ。アジアはタイと中国中心に2Q連結累計900億円程度だが、これからのつき合いが本物。欧米債務危機、中国バブルのてん末にかかわらず、340年の暖簾を引き継ぐ温厚篤実な取引がよりどころ。欧米や中国の企業は信用不安に追われ制約要因が多いためだ。技術革新につきものの岡谷エレクトロニクス。世界トップを走り続ける半導体メーカー、インテルの評価が語り草、岡谷社長が唯一子会社の会長を務め信頼抜群の100%子会社。技術革新も信頼次第、いざとなると強い。もっとも人材育成が究極のテーマ。国境を越えて新たな道をひらくもので、過渡期や変革期に入りビジネスチャンス。2011年新卒総合職に対し盛りだくさんの研修を実施。内優秀者には更に海外で3ヶ月間語学研修を受けさせる。若手に海外体験を積ませるトレーニー制度も拡充。現在14名が海外各地にて実務研修中で、グローバル化の期待を担う。日本の首相は直近20年で15人を数えるが、岡谷社長は13代目で90年に就任し22年健在。300年を超える歴史で上場したのが最大の出来事という。04年伝統企業の国際組織「エノキアン協会」に加入したが、枯れるどころかピンピンしている。国内にとどまらず海外に取引が拡大しても、名証1部に自重しているあたり真骨頂。旧尾張藩御用達の流れをくむだけに人が寄ってくる。つまり、トップがモデル。今の役員、幹部も相当なレベルにある。

2012年2月期(連結)は、売上高6500億円(1%増)、営業利益85億円(同)、経常利益100億円(1%減)、純益75億円(3%増)の見通し。1円増配し23円配当(期末11円)の予定。依然慎重だが、3Qの感触がいいだけに1月10日の発表が楽しみ。納会874円(1株当たり連結純資産1597円)の気配だが水準訂正も考えられる。同社の場合、2012年を見ると安定運。13年後半から上昇運。未達の中期計画実現に追い風が吹いてくる。

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