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森羅万象

目先反動戻しきわめて流動的な情勢 (2017.09.29)

昭和の風林史(昭和五四年九月二五日掲載分)
目先反動戻し 灰汁は抜けたか?
◇…小豆は投げが大分出たから急落の反動で反発する。
反発したからと言って大底したかどうか判らん。
「噴煙は遠し萩咲き野菊咲き 左右」
◇…普通なら彼岸底という言葉を聞くのであるが、
いっこうにそのような声を聞かない。
◇…二万四千円攻防を言っていた人たちは、
二万三千円の攻防―と、水準を千円切り下げている。
攻防というのは攻めたり守ったりを言うのであるが、
今の小豆戦線は
売り方の攻めはあっても買い方の防はない。
だから攻防ではなく攻攻である。
◇…昨今、ベトナム軍が
バンコクを侵攻する可能性が強いと言われる。
情報の早い華僑は、
タイへの投資をストップしたそうだ。
カンボジアは食糧不足が深刻である。
カンボジア人がタイ国に
四、五十万人以上も流れ込むだろうと観測されている。
タイ国は一望千里、まったく平らな国である。
だから〝タイラんど〟というのかどうか知らぬが、
戦争の経験を重ねてきたベトナム軍と
タイ国の軍隊とでは勝負にならぬ。
◇…いや、二万三千円の攻防じゃなく、
売り方は、攻め攻めであるという小豆の強弱が、
とんでもない方に飛び火したが、
ベトナムがタイ国に攻め込めば、
ゴムの相場が沸騰するだろうと考えるのが
先物市場の投機家思考である。
◇…砂糖だって、相場がありそうだぜ―という。
これはベトナムに関係はない。
発想を聞けば、なんだとなるが、
小豆が安い時は砂糖が上がり、
砂糖が安い時は
小豆が高いという過去の経験にもよるが、
そんな事ではなく、外糖の動きが違う。
国際商品高の最後にくるのが砂糖である。
為替の関係。ロンドン、NY市場の投機筋の動きなど、
今年の暮から来年にかけて
砂糖に大相場ありという見方が色濃くなっている。
◇…話はまた飛ぶが、先週(9/22増大号)の
東洋経済新報の
「建国30年―中国近代化路線のゆくえ」を
読んで毛沢東が中国を駄目にしてしまい、
鄧小平さんの手で、中国を立直すことは難かしい。
いまや中国内部は
失業者と食糧不足と、人材不足で、
ガタガタになっている事が判る。
このような時に為政者は
国民の目を対外に向けさせ
戦争という事になるのだが、
時事通信社の森永和彦氏が
「内外情勢資料国際特報」に、
インドシナ情勢の
きわめて流動的なことを書いていた。
先日、森永氏は名古屋岡地で講演した時も、
中越紛争についてのくわしい解説をされたが、
世の中刻々と変動している様子が
黒板からもうかがえよう。
●編集部註
 結局ベトナムが
タイに乗り込んでくることもなかったし、
政治闘争を生き抜き、
この時3度目の政治的な復活を遂げた鄧小平は
「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫だ」
と現在の中国の勃興の土台を築き上げた。 
国際情勢の分析というものは、実に難しい。