6項目の積み重ね 太陽化学 8月30日 (2017.08.29)
最高益更新の見通し
下期マイクロ波導入新工場が稼働
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太陽化学(2902)は好調。1Q連結27.1%営業増益。通期最高益更新の見通し。直近3期で右肩上がりがはっきりした。去る5月25日、創立70周年。前期30年続いた株主優待制度を廃止する一方、記念20円を含め初の50円配当(期末40円)を実施。吹っ切れたようだ。1Q原価改善と為替差損一巡が2ケタ増益の主因。2Q以降差し引き着実な伸びが見込まれ収益拡大。上昇気流に乗りそうだ。2008年、四日市本社を郊外の南部工場に集約したのが今日の伏線。11~12年にかけて例年にない需要の落ち込みを経験し、市場変化、グローバル化、品質管理、環境への取り組み、人材育成、業務改善による全体最適化6項目の積み重ね。5年がかりで浸透し愁眉を開いた。26年(80周年)花が咲き、36年(90周年)実をつけるトレンド上。7月に13年振り1426円の高値をつけ、現在1300円前後でもみ合っているが、時価総額300億円(連結純資産359億円)に過ぎない。三重県上場20社の一角。ロゴのS、Tがサイエンスとテクノロジー。スマイルとトゥゲザーも含まれる。世の中にないものを提供するのが使命という。一般には虫歯予防効果がある「サンフェノン」、摂取すると脳にα波が多く出る「テアニン」で知られ、独自の界面制御技術に高い評価。研究開発(前期12億円強)も積み重ねによるものだ。1Q ニュートリション2.4%減収(0.4%営業減益)、インターフェイスソリューション0.8%減収(22.4%同増益)、アグリフード事業4.7%減収(同115.2%同増益)で方向感が出ないものの、最高益の滑り出し。国内外、乳化剤や安定剤など添加物の取扱品目2000以上といわれ、大手食品・飲料・化粧メーカーの黒衣が現状。生産と物流コストの改善が顕著という。気になるのがマイクロ波化学と折半で下期立ち上げ予定の合弁会社。ショ糖エステルで先行する三菱ケミカル(4188)と第一工薬(4161)に対し第3勢力。反応時間3分の1~5分の1、エネルギー消費2分の1~3分の1、設備も3分の2~2分の1というマイクロ波技術導入が目玉。成功すると、1世紀以上変わっていない製造プロセス一変。当初年1000トンの予定でアジア向け市場拡大が見込まれる。1952年に国内初の食品用乳化剤を開発して以来の材料。市場も黙っていない。
2018年3月期(連結)は、売上高405億円(2.6%増)、営業利益36億円(4.5%増)、経常利益35億円(12.1%増)、純利益22億円(13.2%増)の見通し。配当36円(期末26円)の予定。設備投資9億5000万円(前期10億2400万円)の計画。前期末の連結従業員913人(単体559人)。4期遡っても同1133人(同549人)で締まっている。下期、新工場立ち上げから何が起きるか興味深い。2011年、近隣の塩浜新工場稼働から6年。IoT時代に呼応する乳化剤が誕生。カウントダウンに入った。