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森羅万象

「秋たつや何におどろく陰陽師」与謝蕪村 (2017.08.17)

昭和の風林史(昭和五四年八月八日掲載分)
無抵抗圏内へ 作柄ズカズ力悪い
乗り遅れた人が多い。相場様は先をお急ぎだ。
今から飛び乗っても充分間にあう。
「秋立つや籔下刈りも昨日今日 杜羊子」
本日立秋。
小豆相場は当限が、その一代棒で三分の二戻しを達成した。
先限の引き継ぎ線は新高値に躍進した。
小豆市場で心の晴晴しない人たちにとっては、
あれよ、あれよという間にこんな値段になっていた。
相場様が、先をお急ぎになっている。
強気している人にとってさえ、
うっかりしていると買い玉が取られている
(利食いしている)。
非常にテンポの早い相場である。
北海道の作柄のほうは土用に入って以来、
ガーンと照りつけるところがなかったため、
収穫予想は不良になろうとしている。
あと、秋が早い予報だけに、
低温→長雨→早霜という、冷害・凶作決定的な場面に
突入していくだろう。
相場のほうは、これはもう理くつなしである。
弱気の病気がなおらない人にとっては、釈然としない。
そんな馬鹿な―という考えがどこかにある。
また今に見ておれ大暴落があるさ―
という負けおしみも強い。
それらがミックスされて意地になる。
仕手が煽っているわけでない。
だけに強気にすれば判りやすい相場だ。
飛んで跳んで窓あけて、
踏んで踏んで腹立てて、
アンドロメダ三万六千円相場である。
取組みは漸増傾向である。
逆ウォッチの線ではどこを買ってもよいし、
買い、また買うところだ。
弱気は、こんなところを―と思うが、
それは一種の値頃感である。
また、深押しがあるだろうと思うのは、
はかない期待感である。
売りたい病気にかかったら、なんともならん。
もの事は、ひとつケチがついたら、とことんあかん。
今年の作柄など出足から変だった。
去年、よすぎた反動である。
与謝蕪村の句に、
「秋たつや何におどろく陰陽師」というのがある。
まさしく今の小豆弱気の図である。
どこを買ってもよいと思う。
相場は相場に聞けである。
ひと昔前の、
冷害凶作年の小豆ケイ線を参考にすれば判りやすい。
それにしても、
カラーッと強気になりきれない市場である。
それだけに、ますます相場は大きくなる。
いま弱気筋が頭の中で考えている場面は、
三万円に乗せてからになるだろう。
それまでには、なお三千丁の上値を、ゆっくり残している。
●編集部註
「アンドロメダ」という言葉が、
このところ頻繁に文中に入っている。
この年の夏、東映は宇宙戦艦ヤマト
銀河鉄道999の映画版を公開していた。
後者の主題歌はゴダイゴが歌っていた、
今でも耳にするあの曲だ。