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企業レポート

踊り場迎え一服 矢作建設 8月9日 (2017.08.08)

10年後こけら落とし
ピタコラムで揺るぎない信頼築く
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矢作建設工業(1870)は一服。これまで4期連続連結ピーク更新。踊り場を迎えた。自社開発の大規模工業団地や分譲マンションの引き渡しが一巡し、不動産セグメントの端境期によるもの。期初の連結受注残609億円(18.7%増)に対し、1Q受注高173億円(9.1%増)と続伸。売上高166億円(53.4%増)に目を奪われた。大型案件具体化に伴い人手不足、省力化、スキルアップなど懸案解消に追われているのが現状。4月17日にJRゲートタワーがオープンし、いよいよ10年後リニア開業ゲートが開いた。同タワー地下5、6階が新駅の一部で改札設置の予定。筆頭株主の名鉄(9048)も3月29日名古屋駅再開発計画をまとめ、2022年度着工(27年稼働)と発表。自社と他の3社6棟を解体し、南北400m、高さ160~180mの大型ビルを建設する旨も伝えられた。三大都市圏のほか東北、広島、九州に主要拠点を構える同社にとって史上初の関心事。地元で「メイカーズ・ピア」(レゴランド・ジャパン)や「イケヤ」、リニア、北陸新幹線延伸など受注し会社が幾つあっても足りない印象。1941年といわれる名鉄名古屋駅開業以来の超大型案件入札が目前に迫った。JR東海(9022)が国鉄分割・民営化の目玉として2000年にセントラルタワーズを開業したのが口火。このほどJR名古屋駅でリニア新駅のボーリング工事が始まり名鉄サイドを刺激している。同社の場合、商号に工業をつけたエンジニアリングが特徴。前回触れた「デザインC」も一環で根拠のある合理的な提案が真骨頂。北海道から沖縄まで全国3300を数える「ピタコラム工法」(制振ダンパーを使用した耐震補強工法)が典型だ。全国の自治体、学校、病院などで採用され、揺るぎない信頼を築いた。最近一連の案件に浸透し、名鉄名古屋駅再開発、JR・近鉄・地下鉄相互乗り入れ、南北400m大型ビルなど主要工事に同社の提案が注目される。今期は中期計画(2015~17年度)の最終年度で、当初通り着地を見込んでいるが、数年後連結売上高が1000億円を突破。10年続く仮説も検証に値する。五輪後に白熱化。スタミナが前途を左右しそうだ。現在運気好調で来年から調整運。グループの結束、各目スキルアップが優先課題になりそうだ。逐一大型案件をこなし、女性やシニア動員にも道筋をつけた。これまで九州に延べ180件の実績があるという。
2018年3月期(連結)は、売上高900億円(0.8%増)、営業利益60億円(21.1%減)、経常利益同(21.6%減)、純利益40億円(21.5%減)の見通し。配当24円(中間12円)を据え置く予定。設備投資11億7000万円(前期34億9400万円)の計画。韓国で技術認証を取得したピタコラム工法が世界の架け橋。意外なファクターになりそうだ。何より、急逝したオーナーから好リリーフを得て2年前着任した高柳社長(55)が上昇運。10年後、こけら落としが待っている。

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