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森羅万象

一応とどいて 戻したあとジリ貧 (2017.06.28)

昭和の風林史(昭和五四年六月二一日掲載分)
相場の自律戻し。一応とどいた。反発力が出来た。
しかし、涙り一杯すればジリ貧になろう。
「十薬を抜きすてし香につきあたる 汀女」
これという材料もないのに相場が高くなる。
材料なしで上る相場は気をつけなければならない

人気が、総悲観、総弱気。
これが、大幅に下げたあとの人気であれば、
やはり用心しなければならない。
小豆相場は、下値にとどいているという見方だった。
そして、ある程度戻すだろうと観測されていた。
相場の自律戻しを人々は予測していた。
相場は確かに反発した。
反発のキッカケが、作付面積の大幅減反説―
これは事実でなかったが、デマであれ誤報であれ、
相場が反応した。
相場師なら、この事実
(デマ情報であろうとなかろうと反応した相場を見て
(1)相場は、とどいている(
2)戻る力が出来た―ことを知る。
さて問題は、そのあとである。
まだ表面に出ていない、強力な買い材料があるのか。
新しい買い仕手が介入しているのか。
需給事情に、大きな変化が生じたのか。
取り組み、内部要因に異変があったか。
ホクレン、雑豆輸入商社のポジションはどうか。
その後の産地の作柄、天気の予報はどうか。
そのほか、様々な事項を瞬間的にチェックして、
小豆相場は、単なる戻りなのか。
それとも底入れなのかを考える。
大方の意見は、需給に異変はない。
産地の作柄は非常に順調である、
新しい仕手的要因も見当らない。
要するに、自律反騰に過ぎず、
戻りであるし、この戻りには限界がある。
ヘッジ玉が安値ではずされたが、
戻せば再びヘッジされる運命にある。
しかも、咋年を上回るような豊作型の作柄であり天候のようだ。
となれば、ジリ貧の相場が考えられる。
まあこのような判断の仕方で“小豆戦線異常なし”。
戻り一杯の地点を売りたい。いや、売るべきだ―と結論が出る。
確かに、とどいだ(と思われる)相場を売る人はいない。
だから(少々の買いで)反発する。反発すれば弾みがつく。
その弾みを、冷静に分析して、充分の値に戻れば、
抜く手も見せずに巧者筋が売り、
マバラが遅ればせに売ってくる。
下げだしてからの日数という面からでも、
相場基調が転換するところまでまだ来ていないようだ。
●編集部註
 二万五〇〇〇円の川を、既に渡ってしまった。
 引き返すにはそれ相応の体力が必要なのである。