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森羅万象

限界ある上値 不動の売り方針 (2017.06.12)

昭和の風林史(昭和五十年五月二八日掲載分)
限界ある上値 不動の売り方針
場は、かなり過熱してきた。売りの急所である。
崩れる時はS安。不動の売り方針。
「鮎くれてよらで過行夜半の門 蕪村」 
手亡相場の商いがエスカレートしている。
踏み玉。新規買い玉。利食い。新規売り。
過熱していた。一種の怨相場である。
売り陣営は声を発しない。
どの地点で積水を千仭の谷に決すが如き攻勢に出るか。
息を詰めて満を持す格好だ。
一代足で九月限手亡は三分の二を戻した。
八月限一代足は半円戻しである。
値段の面、日数の面で大きな急所である。
人気面は大衆売りのクロウト買いという傾向が見える。
典型的な〝人気の裏〟が出た相場である。
取り組みは増大している。
いまもって手亡相場のミステリーが続いている。
戦い勝って油断していた売り方の虚を、
買い方は奇襲した格好で、
まさしく暁の逆襲に成功した。
こうなってくると、野も山も総悲観だった人気が、
大局基調大転換を
思わせるほどの変化を見せるから相場は怖い。
ピービーンズを過大視した反動という。
しかしこの相場には限界がある。
買い方仕手が、いかに奮戦しようと
①不需要期に入る②梅雨の品質低下
③十万俵のピービーンズ圧迫④相場反騰による輸入刺激
⑤相場内部要因の変化
即ち踏み一巡という現象が発生する。
現在の相場を分析すれば、総弱気の反動。
安値売り込み、高値買い玉の整理完了。
大取り組みのエネルギー爆発。天災期入り。
相場の花である仕手介入。
仮需要の力が実供給力を時間的な面で
一時的に上回った―というところだ。
そしてその結果は、次なる暴落を背負うことになる。
『お客さんは売ってくるから、上値を残している』
と言う。
あおの下げ相場のとき、
どこまでも買ってくるといわれた大衆筋が、
投げて、そして安値を売り込んだ。
相場は、どこまでも皮肉に出来ている。
さて一万二千円台。
二空(二ツ目の夜放れ)である日足で新値八本。
節足で十本。一発狙いの急所だと思う。
場は、かなり沸いている。
崩れる時はS安であろう。
不動の売り方針だ。
●編集部註
大衆が売り、玄人が買うという構図は珍しい。
外務員が一般客から売りの新規注文を取ってくると、
露骨に嫌な顔をされた時代を知っている。
普通、素人はカラ売りという概念を知らない。
今はネット等で知っている人が多くなったが、
初めて仕組みを知った時、目から鱗が落ちたものだ。
【昭和五十年五月二七日小豆十月限
大阪一万七八二〇円・一九〇円高/
東京一万七八三〇円・一二〇円高】