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森羅万象

「堅田鮒雨のあがりて日に少な」 涼舟 (2017.05.29)

昭和の風林史(昭和五十年五月十九日掲載分) 
ヘドロの如し 処置なしの手亡
大量のヘドロが手亡相場の〝おり〟になる。
手亡はこれから売っても充分銭になる。
「堅田鮒雨のあがりて日に少な 涼舟」 
昭和48年に山梨商事がピービーンズを四千五百㌧、
三晶が千五百㌧、合計六千㌧輸入した。
そのうち山梨商事は千㌧を逆輸出した。
残った五千㌧のピービーンズが
持ち下げならず定期市場のヘドロになった。
この五千㌧のピーを
お腹の中に入れる(消費する)のに丸々二年を要した。
当時、逆輸出できたのは海外市況が上昇していたからだ。
二百十㌦で輸出したものを四百七十㌦で出した。
海外市況は五百㌦していた。
いま逆輸出はどうかというと、まったく不可能だそうで、
一俵換算四千円以下なら別だが―と。
今年はピーが十万俵以上も輸入される。
そのピーを神戸の現物筋は一俵六千円なら
二割五分ないし三割混入して潰すが
七千円っでは手間がかかって
間尺に合わない―とつれない。
五千㌧で二年かかった。十万俵なら何年かかるか?
という単純な計算は出来ないかもしれないが、
とにかく大変な量のヘドロである。
そういう事から手亡は戻りを売るしかない。
市場は、かなり強気になっている。
だが先限の千二百円から五百円までのところは
売っておけばよい。
欲を言えば六月二日新ポに登場する11月限。
これを横になって売る。
新穀のサヤを買うだろうし、手亡の作付け減を買おう。
また晩霜などあって
S高にでも買われるようなら嬶質の売りだ。
12月限も1月限も2月限も、
登場してくる限月すべて売って、売って、売りまくれば
来年三月花咲く時分は億の金が握れる。
そのうち50年産の新穀のピーが契約される。
ビルマのバターが入ってくる。
現在北海道に30万俵近くの49年産手亡が残っている。
手亡の千丁戻し、
再びこれが一万一千円→一万円→九千円の
大台三ツを割るだろう。
11月限がサヤを買ってどこにうまれようと叩き売れ。
手亡売りは銭になる。
そう信じて売る。
手亡は底堅い。これは強気一貫。どこかで火が噴く。
天災期の本命である。
●編集部註
 この当時と現在とでは
〝ヘドロ〟という言葉の重みが違う。
 今より公害問題が生々しかった時代の
〝ヘドロ〟という比喩表現で
一体どんな相場を示していたのか
を考えると味わい深い。
【昭和五十年五月十六日小豆十月限
大阪一万六七一〇円・一〇〇円高/
東京一万六七三〇円・八〇円高】