「風鐸の中より垂るる巣藁かな」 麻葉 (2017.05.01)
昭和の風林史(昭和五十年四月二四日掲載分)
新しい局面に 買い方総懺悔へ
手亡は下げの新しい局面に入った。
目標一万五百円。買い方総懺悔のとき。
見切り千両だ。
「風鐸の中より垂るる巣藁かな 麻葉」
手亡の崩壊が始まった。
当限以外の限月は23日の朝寄り付きで、
いずれも新安値に放れた。
ここから新しい相場と見てもよい。もちろん下に。
一万四千円台の買い玉が両建てになっている人。
一万三千円どころの買い建て。
そういう玉が決断の局面を迎えた。
一万二千四、五百円の買い建て玉に追証がせまる。
お客さんは、ガタガタになったとセールスは嘆く。
テレビ番組で連想ゲームというのがある。
ヒント・手亡の買い方。
答え・ガチャガチャ。
下値は七、八、九月限の一万五百円あたり。
買い玉は辛抱しても報われない。
ナンピンかけても救われない。
なぜなら、崩れ落ちたあと反騰出来ないからだ。
下げっぱなし。
コインロッカーにでも
入れておくしかない世相を反映している。
見切り千両という。
穀物市場の畠が荒れてしまった。
その結果は、
期待された小豆相場の出発が、かなり遅れよう。
小豆も重い。納会は渡し物が多い。
しかも古品がかなり混入されているそうだ。
期先限月にはホクレンの売り物が頭を抑える。
取り組みが薄い。新規が出にくい。
小豆も先限六千五百円以下の値。
時に三月20日(彼岸)瞬間的につけた安値近辺を
洗いに行くかもしれぬ。
小豆を買うのは、まだ少し早い。
手亡の終戦処理が終わってからでも間に合うだろう。
市場が総悲観人気に包まれねば買い妙味はないのだ。
小豆も判りやすいが手亡はもっと見え見えだ。
ミシガンピービーンズが値下がりしている。
商社は定期利用で高収益を挙げることが出来る。
極端な弱気は手亡相場の一万円割れを予想している。
怖いのは、
そういう値段が無いとは言えない環境である。
とりあえず、一万一千円割れ。一万五百円あたり。
二千円以上で取り組んだ玉が、
なだれ現象を起こすのである。
23日の寄り付きから
新しい相場に入ったと見るゆえんだ。
まだ間に合う下り最終列車。
汽笛残して赤い尾灯が消えて行く。
●編集部注
この年のこの月、
サイゴン陥落をもってベトナム戦争は終結する。
この時期、ベトナムに
手亡の崩落を重ねて見た人はいたと思う。
ただ、相場の終わりは新たの相場の始まりでもある。
【昭和五十年四月二三日小豆九月限
大阪一万六九〇〇円・九〇円安/
東京一万六九三〇円・七〇円安】