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森羅万象

「一人静二人静も裏山に」 かな女 (2017.03.10)

昭和の風林史(昭和五十年三月七日掲載分) 
時間かかるが 減反買う相場だ
手亡はピービーンズ相場で魅力を失った。
大衆は徐々に見限っていくだろう。
小豆も時間がかかる。
「一人静二人静も裏山に かな女」
手亡相場は春の嵐のようなピービーンズ成約で崩れた。
相場的には数年前、
小豆相場が中国小豆にふりまわされた時のような印象を受ける。
成約ピービーンズ約五千㌧。定期の枚数にして二千枚。
投機人気が盛り上がっている時なら、
なんという事もない数量であるが、
強力な買い方仕手も存在せず、
萌えるような市場人気もない現在、
輸入商社が手亡相場の制空権を握り、
手亡相場ではなくピービーンズ相場となる。
しばらくは、輸入商社や現物背景の
売り型の支配下に置かれる相場だけに、
情勢が大きく変化するまで、手亡相場に妙味はない。
それでは、小豆相場に期待をしてもよいかということになる。
小豆の本年産北海道の作付け面積は
道農務部あたりの予想によると
前年の六万一千ヘクタールを大幅に割り込み、
四万三千ヘクタール見当という大減反である。
中間地帯の、稲作から小豆の畠に転換したところが
連作によって土壌が限界にきていることや、
小豆の価格が他作物に比較して低いため生産の魅力をなくし、
かつての大場所帯広を上回る大場所に、
のしあがった中間地帯が、
本年あたり目だって落ち込む傾向にある。
このため再び十勝平野が小豆の主産地に返り咲くわけだが
全道予想四万三千ヘクタールは、反収二俵として八十六万俵。
冷害、凶作に見舞われると六十万俵収穫という昭和41年、
四十五万俵収穫だった39年の再現なしとしない不安が
つきまとう。
このような収穫不安定な小豆だけに、
その相場も、きわめて投機的であり
先物市場での人気を集めてきたわけだが、
いまや小豆相場は、
かつての華やかなりしころの面影はない。
真に小豆相場ファンにとっては淋しい事である。
だが、本年の大幅減反は来年の減反にもつながるわけで、
小豆生産者が敢て手持ち現物を売り急がないのも、
本年こそ小豆価格が大革命する年である事を
本能的に察知しているからであると思う。
時は春。万物陽発する季節。焦らずに時期の来るのを待つ。
●編集部注
既に我々はこの時の相場動向を知っているので、
この当時に、
小豆相場を手掛ける人の身になって考えてみようと思う。
それまでは長い保合いが続いたので、
買い方にとっては、少なくともこの値位置付近が
潜在的な鬼門になっている。
売り方は勝負どころだろう。
【昭和五十年三月六日小豆八月限
大阪一万七三一〇円・八〇円高/
東京一万七三八〇円・一三〇円高】