昭和の風林史(昭和五十年二月四日掲載分)
大勢、大局を見定めれば小豆も手亡も買い方針一貫である。
少々の押しは相場を強靭にする。
「立春の海よりの風海見えず 信子」
新ポは、ぼんやりと寄りついた。
気迷い人気がまだ抜けきっていない。
産地筋の調べによると小豆の産地供給量は、
五十万俵をタナ上げして
出回り七十万俵にしかならないという計算である。
即ち総生産高百六十七万五千俵。
商品化率87%として
出回り百四十五万七千俵
古品(48年産)繰り越し量が四十六万二千俵。
合計百九十一万九千俵。
この中から昨年暮れまでの移出三十九万八千俵を差し引くと
一月以降の産地供給量は百五十二万一千俵。
五十万俵のタナ上げと北海道内の消費を差し引くと
七十万俵がせいぜいということになる。
七十万俵といえば一万七千五百枚である。
ひとたび相場に人気が集中すれば、
一、二日の出来高にしか過ぎない。
大手亡のほうは生産四十八万八千俵。
商品化率90%と見て出回り四十三万九千俵。
古品(48年産)十四万五千俵を合わせて総供給量五十八万四千俵。
この中から昨年の移出十一万一千俵を引くと
一月以降の産地供給量は四十七万三千俵となる。
枚数にして一万一千枚ほどのものである。
目下のところ穀物市場は、
先に行けば作付け面積の大幅減反と天候にからんで
小豆といわず、手亡といわず大きな相場が展開されるだろう
という見方をしているが、まだ、今の相場がそのまま、
そういう大相場につながるとは思っていない。
しばらくは、手亡の一万四千円ラインを中心にした攻防。
小豆の一万七千円ライン中心の上下動という波乱が繰り返され、
それからという見方が支配している。
従って、飛び付き買いをして嫌な思いをするよりは、
押したところ、安いところを待って仕込もうという人気である。
もっとも、
いまとりたてて、相場に火をつけるような材料も考えられない。
春の需給相場というわけである。
しかし金融も徐々にゆるむし、
取引員の営業活動も活発になる時期だ。
産地は値段が気に入らずなかなか売ってこない。
結局は、どこかで市場を震撼とさせる場面があろう。
●編集部註
供給側は高く売りたいが需要側は安値で欲しい。
これが相場のメカニズムなのだが、
相場は振り切れる事がある。
投機家はそれで良いだろうが、実需筋はそうもいかぬ。
つくづく築地の仲卸は巧い機能だと思った次第。