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企業レポート

トラウマの北米復活 大同メタル 1月24日 (2017.01.23)

2017年度が決め手 
すべり軸受世界トップの試金石 
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大同メタル工業(7245)
は踊り場。計画を下回る折り返し。通期でも下方修正した。しかし、昨年11月米大統領選を境に円安株高。4Qから飯野HDを連結開始。
さらに、今年1月買収した旭テックの子会社ATAキャスティングテクノロジージャパンもグループ入り目前。中期計画後半(2015~17年度)盛り上がっている。生産・販売・開発のグローバル体制構築と非自動車分野の開拓強化に傾注した前半に対し第2ステージ。環境対応・生産・販売・開発・財務などすべり軸受の全分野で世界トップシェアを実現するのが基本的なテーマ。自動車・船舶エンジン用のトップシェア堅持・拡大をはじめ船舶・産業用中高速エンジン用、スモールターボ用、ポリマー軸受・産業用高速回転機用でもトップシェアを実現。グローバル経営体制の確立を目指すものだ。ところが、20日就任したトランプ新大統領が米国第一主義、TPP離脱、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を表明するなどネガティブな印象。2013年夏からメキシコで米国向け軸受の生産を始め、現在受注増に納期が間に合わず時に飛行機、チャーター便で運んでいる状態。16年度から営業黒字の見込みが外れ、今後紆余曲折の末、年間500万台(世界生産約9000万台)さばき捲土重来。追加投資も辞さない旨前回述べた通りだ。リーマン危機前後のリストラで4期連続赤字を計上し、「サバイバルプラン」で固定費を20%削減し11年3月期最高益を更新。トラウマに苦しんだ北米、東日本大震災でも復活した経験が役に立つ。環境規制の厳しい欧州開拓に鉛を使わない軸受を開発し新規受注が急増した例もあり、品質と価格競争力に定評。原子レベルの技術を集約した全工程社内一貫生産システムによるものだ。昨年6月立ち上げた佐賀県武雄の新工場も次世代のプラットホーム。愛知県犬山市に集約したバイメタル事業を補完するもので、14ヵ国18生産拠点を結び世界5極体制の一環だ。創業者が九州出身、「葉隠」(はがくれ)が武士道に通じるところから現地の受けも上々。10年、20年後が楽しみだ。書き出しの飯野HDが直近売上高66億円(営業利益10億円)、ATA同82億円(同4億円)といわれ、来期の連結売上高1000億円を射程圏。2月10日発表予定の3Qから注目される。
 2017年3月期(連結)は、売上高805億円(1.1%減)、営業利益55億円(22.7%減)、経常利益同(19.1%減)、純利益32億円(18.4%減)に見直した。4円増配し30円配当(期末15円)の予定。設備投資135億円(前期148億円)の計画。足もと計画線の模様でEU離脱、米国トランプ政権の影響が半年、1年後。そこで、社運を見ると2017年運気好調。判治会長(75)も同運で取引先をはじめ周囲に助けられるという。連結売上高1110億円(営業利益167億円)が第2ステージの目安。新年度の数値目標に相当し、すべり軸受世界トップの試金石。2019年(設立80周年)、29年(同90周年)の助走とみられる。

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