昭和の風林史(昭和五十年一月十七日掲載分)
まだまだ警戒厳重である。押さば買う一手。
手亡の初押し無条件界。先限五千五百円目標。
「鶯や谷間谷間の水の音 碧梧桐」
一月が六日発会。二、三月が三日新ポ。六月が二日新ポ。
十一月がなんと聞いたこともない四日新ポである。
今年の相場は三日新ポが続いたり、
開びゃく以来の四日新ポがあったりして、
とにかく大荒れしそうだ。
米相場の昔から〝辰巳天井午べたり〟と言われる。
辰の年、巳の年にかけて相場は大高回りに入るのである。
低回り三年、中回り三年、高回り三年と
相場のサイクル九年ひとめぐりを重視した。
その式でいけば、去年は高原相場。
今年あたりから再び活火山になりそうだ。
人々はいま、どんな強気の人でも
小豆の二万三千円か五千円あたりまでの値段しか考えていない。
しかし筆者は、いずれ小豆一俵三万六千円。
今の値段の倍ぐらいの相場が出るだろうと思う。
穀物が再開された当時の小豆相場は五千円から六千円どころで、
八千円を抜いた仕手戦で市場は、たまげてしまった。
そのあと普通で七千円相場、
凶作や仕手戦で一万円を抜くと市場は閉鎖されたものだ。
その後一万二、三千円の時代。
そして一万五、六千円時代となった開所当時の三倍、
八千円時代の三倍である。
恐らく今年も生産者米価は大幅な値上がりをするだろう。
世相の趨勢から見て、物価は上昇一路である。
春闘が終われば景気に刺激され、再びインフレの火は燃えよう。
〝不況よりもインフレ〟という政策をとらざるを得ない。
世界各国とも高金利時代から抜け出して
低金利→景気浮揚という政策に転換している。
日本も金融引締めの限界に来ている。
ひとたび金融がゆるめば流動性資産は
株式市場と商品市場になだれ込むだろう。
商品市場では、小豆、手亡の穀物が花形になることは、
すでに充分予測出来るのだ。
とりあえず小豆の二万三千円→五千円という価格革命である。
出来高の面では手亡が小豆を上回り、
それだけ激しい値動きで人気を集めているが、
手亡よし、小豆よし。
仰げば尊し我が師の恩。
動けば尊し相場の人気。押さば買う一手。
●編集部註
一万七五〇〇円。これが当時の小豆相場の壁だ。
なかなかの難所で数カ月間超え切れなかった。
平成十五年から十六年にかけての
八〇〇〇円の壁と同じと思うと良い。
【昭和五十年一月十六日小豆六月限
大阪一万六九七〇円・一一〇円安/
東京一万七一一〇円・五〇円安】