リニア着工本格化 名工建設 1月18日 (2017.01.17)
今期も高水準経過よし
100年に一度のプロジェクト続く
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名工建設(1869)は高水準。昨年7月25日に続き同10月31日上方修正。ビジネスチャンスに変わりない。筆頭株主JR東海(9022)のリニア着工によるもので、昨年1月品川駅、同11月南アルプストンネル。
さらに、同12月19日名古屋駅も本格化。2027年開業(37年以降大阪延伸)に向けて動き出した。何より、施主が想定外のマイナス金利で考えられない資金調達を実現し前向き。旧国鉄民営化30周年を数える4月1日、同17日「JRゲートタワー」全面開業とあって来期以降10年、20年にわたり100年に一度のプロジェクト進行。余裕のない厳しいスケジュールといわれ後に引けなくなった。全体をスーパーゼネコンが仕切るものの、リニア関連工事、開業後も保守工事が見込まれ記録的なスケール。人手不足のさなか、総動員で取り組んでいる。昨年6月就任した渡邉社長(63)がJR東海在籍時リニア開発本部主幹を務め、現場にも明るいだけにタイムリーな采配とみられる。前回述べたように、第16次中期計画(2015~17年度)を通じて4つの経営目標実現を目指す。安全の確保と信頼性向上、大規模プロジェクトの確実な施工、ゼネコンとして地位堅持など引き締まったもので、重大な労働災害・鉄道運転事故ゼロ、連結受注高・売上高800億円、経常利益3.0%(前期5.8%)が具体的な目安。直近3期連続ピーク更新、今期も高水準経過よし。JR東海の場合、これまで準備に追われ今年から本格的な工事を軌道に乗せる構えだ。三菱東京UFJ銀の試算によると、名古屋圏の再開発プロジェクト延べ87件。1兆9000億円の規模。「JRゲートタワー」開業と同時に名古屋駅の高層ビルラッシュが一巡し、今後10年リニア開業に向けてインフラ整備に入る。同社は、旧本社跡地再開発に日本郵便と共同事業で「JPタワー」(KITTE名古屋)の大家になった。旧国鉄名古屋駅完成(1937年)以来、画期的な再スタートを切っている。新幹線大規模改修工事を口火に同脱線・逸脱防止やリニア関連・保守工事など新たな手掛かり。ドローンや3Dを使いIT投入や前期過去最高(16件122構面)になったSMIC工法も伸び始めた。インドネシア地下鉄軌道工事のスーパーバイザー契約により今年2月技術者を派遣。「けんせつ小町」といわれる女性の現場監督でもお馴染みだ。
2017年3月期(連結)は、売上高885億円(3.4%減)、営業利益31億円(39.4%減)、経常利益33億円(38.4%減)、純利益22億5000憶円(32.3%減)に見直した。配当14円(期末7円)の予定。前期大幅にピークを更新した反動もあり、4Q追い込み急ピッチ。今年も上昇運が続く見通し。31年(設立90周年)にかけてもうひと山。人材確保が不可欠とみられる。社長も上昇運で努力家。100年に一度のプロジェクトが続くだけに受注増、工事採算の改善を期待できそうだ。何もかも自前でなく、連結によりグループを拡大すると1000億円大台乗せ。10年越しの仕込みが始まった。