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企業レポート

円高で自重 マキタ   11月29日 (2011.11.28)

次の100年園芸機器

タイ工場立ち上げが前途示唆

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マキタ(6586)は一服。円高がブレーキ。前半上振れしたが、後半計画線に自重。11月25日に年初来安値2501円をつけた。28日反発している。7月29日、10月31日の修正発表によるもので、国内外堅調な電動工具の需要に対し当初円ドル83円、ユーロ118円を通期78円、108円のレートに切り上げた。しかし現在77円、103円となり、欧米債務危機に一喜一憂する展開。来年1月ユーロ債の集中償還を控え波乱含みになっている。同社の場合、85年米国工場を振り出しに中国、英国、ドイツ、ブラジル、ルーマニアで電動工具を生産。2Q連結累計87.4%の海外生産比率。影響が小さい。来年7月タイ工場(月産5万台)が稼働すると、国内生産10%割れも考えられ、機動的な生産体制完了。10年スパンで2015年(創業100年)に収束する運び。グループの平均月産台数は、08年前半190万台をピークにリーマンショック後09年4~6月期87万台に落ち込んだが、今期前半230万台に回復。通期2660万台(15%増)の見込み。世界シェア2割といわれ、米国ブラック&デッカー、ドイツのボッシュと並び3強の一角。それも電動工具100年を足場に園芸機器100年が視野に入ったところだ。市場規模は、電動工具1兆円に対し園芸機器3兆円。園芸機器のシェアは1%程度とみられ、10%で現在の連結売上高に肩を並べる。36Vリチウムイオン電池を採用した充電式シリーズを投入。低騒音、低振動、排ガスなしでエンジン式に匹敵するパワー。3年後に本格化する見通し。数年来、電動工具がリチウムイオン電池で精気を取り戻しただけに期待がかかる。その点、日進OPE開発・試験センター稼働が手がかり。小型4ストロークエンジンと排ガス規制対応同2ストロークエンジン搭載商品の開発を強化。充電式を含む電動にエンジン式園芸機器のラインナップを拡充する。東京技術開発センター、マキタ沼津、ドルマー(ドイツ)と本社の開発約70人を日進に移管しコラボが始まった。日進の要員を3年で倍、3倍にする計画。次の100年が見えてきた。

2Q連結累計は、14%増収、23%営業増益、13%税引前増益、同増益の折り返し。計画を上回った。世界的な電動工具需要の回復が背景。全体の42%を占める欧州(13%増)をはじめ北米(7%増)、アジア(24%増)、一部復興需要があり国内(14%増)もいい。12年3月期(連結)は、売上高2850億円(5%増)、営業利益445億円(6%増)、税引前419億円(2%減)、純益291億円(3%減)に見直した。配当は中間15円、連結配当性向30%を目安に期末(前期51円)が決まる。設備投資170億円(前期97億円)の計画。社運は来年前半まで調整運。後半から上昇運で5年続く。このため3、4Qと来期1、2Qがポイント。洪水を免れたタイ工場立ち上げが前途を示唆している。

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