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企業レポート

せり上がったまま 文溪堂 12月21日 (2016.12.20)

連続増収シェア上昇
子供たちと教師の現場にアプローチ
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文溪堂(9471)はシェア上昇。連結2.8%増収の折り返し。3Q 堅調で通期8期連続最高の見通しだ。「ゆとり教育」を軌道修正した小学校の学習指導要領6年目。中学校5年目で逐一先行している。2018年度から道徳が教科になり、20年度以降小学校5、6年生の英語も教科化・大学入試センター試験廃止など文科行政の改訂によるもの。今の子供たちにとって21世紀の変化がいかにも速く、「生きる力」の保障が次期指導要領の根っこといわれる。指導者から学習者中心に転換が図られ、現場ニーズにこたえる改訂、テストやドリルなど教師用の指導・評価支援ソフトが受けている。1955年250万人をピークに2016年105万人にとどまる小学校1年生。国公立と私立計58%減った。創立1922年の小学館が12月発売の「小学二年生」2、3月合併号を最後に休刊。すでに三~六年生を打ち切り「小学一年生」を残すのみ。同社の7期連続増収に底力がうかがえる。目下、次期改訂の仕込み真っ只中。理想を追求する行政に対し、子供たちと教師の立場から現場にアプローチ。一歩先の提案が不可欠だ。今年6月、水谷泰三社長(59)をはじめ新体制。前社長から7歳余り若返り再びビジネスチャンスを迎えた。編集グループのリーダーと製作本部長、ICT(情報通信技術)事業本部長を歴任し課題に挑戦。保護者の費用負担軽減にも配慮し、商品ラインナップ、製作コスト削減、諸経費見直しなど意欲的だ。2Q連結累計出版2.1%増収、教具4.8%増収に驚いた。教具の場合、独創的なアイデアが受け入れられ裁縫・画材セット,中学・高校向け家庭科ブランド「クロッサム」もヒット。特に、画材セットにミズノブランドが登場し大受けだ。子供たちが成人しても余韻が残る。文科省が傾注する小学3年生からの英語教育にしても、マイクロソフト日本の取締役が「日本人の9割に英語はいらない」という本で、本当の英語力を求められるのは本社上層部と直接やり取りする経営陣でせいぜい3%という。一生日本語で支障ない国民が97%。外国語が日本語を学ぶためで、ビッグデータと機械学習による今のAI開発に批判もある。これまで日本の教育が寺小屋当時から蘭学。答えが西洋にあり翻訳を学問とし模倣や暗記を叩き込まれた経緯も興味深い。当時一つだった解が今日幾つも存在しグローバル化。その反動が英国のEU離脱と米国トランプ新大統領につながった。来年から見ものだ。当分先行投資で減益になるが、2020年(創業120年)を境に30年(同130年)、40年(同140年)にかけて相当なリターン。20年までの仕込みにかかっている。昨年8月28日物故した水谷清吉元社長(享年93歳)の「わが人生に悔いなし」が受け継がれている。
2017年3月期(連結)は、売上高115億1000万円(0.7%増)、営業利益4億8900万円(9.1%減)、経常利益4億9800万円(14.4%減)、純利益3億1700万円(11.0%減)に修正なし。配当17.40円(期末8.70円)の予定。単体の配当性向40%が目安だ。毎期1Qに1学期品と上刊品、年刊品の売り上げが計上され有力なバロメーター。7期連続増収でせり上がったまま。次期学習指導要領改訂と前後して相当収益に跳ね返りそうだ。来年も運気好調で安定しており、周囲に支持が広がりパワーアップ。中長期のテーマに取り組む場面。社長は仕込みに前向きであと2年調整運。お金に困らず後継者にも恵まれる大器晩成型の人だ。

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