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企業レポート

仕込みに尽きる スズケン 12月13日 (2016.12.12)

ピッチ上がる新体制
MS1日当たり訪問軒数が増加
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スズケン(9987)
は底堅い。連結増収減益の折り返し。通期反落の見通しだ。薬価改定、長期収載品の減収、償却増などによるもので、前期反転し新体制スタートダッシュ。薬価1.7%(市場0.0%)、納入価ベースでも2.0%(同0.6%)業界をリード。前半の連結売上高が過去最高になった。慎重だったギリアド社のC型肝炎治療薬2剤572億円(計画500億円)、良好な関係にある小野薬品の「オプジーボ」108億円計上が主因。C型肝炎治療薬の場合、強気の東邦HD(8129)が11月9日下方修正し明暗を分けた。後半予想困難で期初のまま。画期的な効果と薬価差益を巡り、2年に1度の薬価改定が「首相も毎年改定という認識」に変わり流動的。海外との価格差も問題で調整に時間がかかる。しかし、患者のゲノムを解読しAIで最適な治療法を選ぶシステムが開発され二の矢、三の矢。数年で事態が一変する公算もある。このため、2025年を目安に卸、製造、保険薬局、医療関連サービスなどすべての分野でオンリーワンビジネスを確立する「One Suzuken 2016」を掲げ3期目。昨年10月からグループ社有車にスズケンブルー、創業時の「鈴謙ロゴ」を復刻し本格的。「お得意様に学ぶ」という80有余年の精神を受け継ぐものだ。07年から前期末まで刻苦精励で難局を乗り切り、最高益で花道を飾った前社長が復活の第一歩。4月から宮田社長(56)をはじめ新体制が飛ばしている。一例が医薬品流通ネットワーク。16年4月に稼働した名南物流センターが南海トラフ大地震に備えたもので、関東で17年1月筑波物流センター(メーカー物流)と18年に大規模輸配送ターミナルセンター。関西でも17年前半にメーカー・卸・輸配送ターミナル3機能こなす六甲物流センターが相次ぎ稼働する予定。16年5月グループ卸の基幹システム統合が完了しピッチが上がってきた。9月に子会社の三和化学が医療・介護食から撤退し医薬集中を発表。同月、治験受託大手EPSHDと資本業務提携。さらに11月、AT&Tなどのシステム導入を表明し高額薬の廃棄ロス削減に立ち上がった。医薬分業が15年度70%に達し、得意先と関係希薄化を懸念される中でMS(営業担当者)の訪問軒数が増加している。
2017年3月期(連結)は、売上高2兆1050億円(5.5%減)、営業利益199億円(45.3%減)、経常利益290億円(36.6%減)、純利益185億円(36.1%減)と当初通り。記念15円落とし54円配当(期末27円)の予定。設備投資221億円(前期174億円)の計画。これまで営業外で計上していた仕入割引(前2Q連結累計40億円 )を会計処理変更により遡及適用した。前回に述べたように、今年から3年調整運。社長も同運で仕込みに尽きる。800万人の団塊の世代が75歳以上になる2025年をターゲットに逐一足場を固めている。

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