「病む師走わが道或はあやまつや」 波郷 (2016.12.05)
昭和の風林史(昭和四九年十二月三日掲載分)
〝全協連〟とは何か 全取引員の団体だ
相場のほうは、これという動きはない。
今までに書いてきた方針から一歩も出ていない。
「病む師走わが道或はあやまつや 波郷」
アメリカのニクソン前大統領は
二年余にわたる悪戦苦闘の末退陣した。
これはスポーツでいえばボクシングだ。
何ラウンドも血みどろの殴りあいのあとダウンした。
田中首相は相撲の土俵で転倒する前に、
それを見越して引退届けを出し不戦敗となった力士みたいだ。
―と、朝日ジャーナル〝丸太小屋と太閤記〟執筆者は比較している。
ボクシングと相撲、民族性の違い。
なるほどと思わせる。田中退陣は、いかにも日本的であった。
きょう全協連は辰巳商品の委託者債務の補償問題と
新しい共同補償基金の設立と運営の問題、
そして取引員の持ち分譲渡、譲受に関する
自主規制の制度化等について理事会を開く。
しかし各地単協末端の全協連会員のほとんどすべての人々は、
中央で進めている構想など、まったく知らないし、
全協連の理事に聞いても
『さあ、どうなっているのでしょう?』と、
現実を掌握しきっていない。
ましてそれが各地取引所当局となると
『全協連首脳部は、なにかやっているらしい―』という程度で
関心は強いのだが、知らしめられていないようだ。
全協連には五名によるトップ会談がある。
このトップ会談で
「同一支配下の取引員が同一取引所において
過度に集中しないよう配慮し、
取引所会員数の5%、取引員数の10%」とする方針を、
きょうの理事会にかけるそうだが、
降ってわいたような、この自主規制制度化には
取引所当局者たちもびっくりして
『思いつきも甚しい』『ナンセンスだ』『出来るはずがない』
―と、極めて批判的だ。
この規制は〝同一支配下〟の見きわめをどうつけるのか、
資本主義経済の自由競争を否定するのかという、
きわめて素朴な疑問を投げかけるのである。
筆者は、全協連のトップは
〝あまりにも日本人的〟発想に過ぎて、
単純、淡白でありすぎると思う。
また、全協連は直参的記者群による新聞ロビーを
築こうとする全協連記者クラブ設置の考えもあると聞く。
新聞ロビーの弊害はつとに言われて久しいものがある。
全協連は全取引員業者の団体であることを
全協連首脳者は忘れてはいけない。
●編集部註
日柄的に当時の大納会まで一カ月を切っている。
野球の如くストーブリーグに入ったという事か。
荒れ相場だと、こうはいかぬ。
国内外共に閑散相場に入ったという事。
牧歌的な時代であった。
【昭和四九年十二月二日小豆五月限
大阪一万七二二〇円・東京一万七一九〇円】