昭和の風林史(昭和四九年十二月二日掲載分)
期待は出来る 掉尾の強力反騰
小豆の日足線の下値が切り上がっている。
おりしも二日新ポ月。意外な反騰が期待される。
「冬浜に人現れて消えにけり たかし」
今月は二日新ポ。そして当限納会は乾繭が17日。
続いて19日に毛糸、生糸、綿糸と納まり、
20日穀物、23日ゴムと当限が落ちていく。
十一月のうちに山本博康氏の大阪砂糖取引所協会は
早々と忘年会を済ませた。
その前の日はやはり同氏が協会長である三品・化繊の協会が
忘年会を済ませた。
山本氏は『きのうは、いま業界で最も商い盛況の毛糸の取引所。
本夕は最も商い出来ず苦しい砂糖。
まさしく栄枯盛衰、一年を振り返り、
同じお酒を飲むにも感慨ひとしおです』と挨拶した。
招待された側の取引所の鈴木恭治理事長は
『御馳走になっていて、こういうのもなんですが、
せっかくの粗糖(バラ)が、われわれの一生のうちに、
二度あるか三度あるかの世界的な大相場の時に、
制限値幅四円にしばられて
商いがスムーズにいかないのは至極残念。
制限値幅を他商品のように五%とすべきで、
これは取引員協会の方々の御理解、御協力を願うものである』
と取引所の考え方を明らかにし
〝年忘れ乱に至らず終りけり(桜坡子)〟となった。
十二月3日の夕方は
全協連の〝名ばかりの〟忘年会がホテルオークラ。
そしてあとは一日に二回もせにゃならんスケジュールに
もつれこむわけで〝ともかくもあなたまかせの年の暮(一茶)〟
の心境に達するまでは皆様ご多忙。
そこで相場を見てみると、幸か不幸か、あまり動かない。
二日新ポだから荒れるだろうとは思うのだが、
荒れるとなると上に行くしかない。
筆者は思うのだが来年は大阪穀取ビルが完成する。
取引所のビルが新築されると必ず大相場が展開している。
名古屋の穀取の時もそうだし、東京穀物もピカピカになって
大手亡の午後三時納会というのがあった。
そして増山相場もあった。
東繊取は不振で飯が食えないからビルを建てて
家賃収入をあてにしてから活況に見舞われ、
名繊取も前の納骨堂みたいな建物の時より
新ビルに入ってから未曾有の活況を呈した。
豊橋乾繭しかり。神戸穀取しかり。
だからいま中井幸太郎氏が懸命にやっている大穀新築に
期待がかけられている。
●編集部註
季節は冬だが、
夏草や兵どもが夢の跡と芭蕉の句を思い出してしまった。
公私を問わず往年の商品業界の
宴席の豪華さ、豪快さは凄まじい。
思い出話としてお聞きする事はあるが、
何分未体験なものでピンと来ない。
【昭和四九年十一月三十日小豆四月限大阪一万六九三〇円・七〇円安/東京一万六九九〇円・八〇円安】