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企業レポート

前期に続き上方修正 中部鋼鈑 11月30日 (2016.11.29)

中国の鋼材洪水しのぐ
首都圏をターゲットに営業展開
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中部鋼鈑(5461)は調整半ば。10月までスクラップ安と製品安が綱引き。連結売上高を除き上方修正した。11月の米大統領選を境にスクラップ高、製品高が顕著。トランプ氏の規制緩和、大型減税、10年1兆ドルインフラ投資など期待先行の追い風。波乱含みになっている。東京製鉄(5423)が11月21日、12月契約分から7ヵ月振り全品種トン5000円値上げを発表したが、年明け以降反動が見込まれ受注確保とコスト削減に余念がない。昨年後半から原油や原材料安に適応し採算改善に意欲。中国の鋼材やビレット(半製品)が年換算1億トン洪水のように世界であふれる中よくしのいだ。個別によると、前期単価9.1%マイナス、数量4.0%マイナス。売上高12.7%減に見舞われながら営業利益39億100万円(96.5%増)。2Q累計でも単価12.9%マイナス、数量1.6%マイナス。売上高14.3%減に対し営業利益14億2400万円(0.6%減)と善戦。スクラップ安に電力・ガスなど製造コスト削減が浸透した。前期51万7000トンにひきかえ、2Q累計23万トンで物足りないが、今後日本も金融から財政緩和に軸足が移り、2020年東京五輪、27年リニア開業を目安にインフラ再構築が予想される。11月8日福岡県のJR博多駅前道路陥没事故が一例。僅か1週間で復旧し、その後フォローも抜かりない。同社は用途別受注で産業機械57.6%、土木・建築30.0%(2016年3月期)が主力。厚板専業で国内指折り。この先首都圏中心に建築の大型案件受注を目指し、2015年度から3年の中期計画で60万トンに引き上げる構え。大型建築向け鉄骨造りでは梁をH形鋼で組むが、溶接H形鋼なら厚鋼鈑を使い大量成約が見込まれる。名古屋で中京テレビ本社ビルに300トン採用された。首都圏は高炉で持ち切りだが、電炉はCO2排出量が少なく品質と価格でも対抗できる。前回少なくても調整3年。電炉の可能性を探っていると述べたが、09年立ち上げた省エネ推進委員会を通じて設備更新。鉄のリサイクル刷新も考えられる。子会社も堅調でレンタル、物流、エンジニアリング事業そろって2Q累計営業黒字を計上。ベトナムの孫会社が9月から本格的な営業を開始した。個別の女性従業員30人程度。2年前より総合職の採用を再開し、やがて管理職が誕生しそうな気配。ポジティブな雰囲気で期待をもてる。
2017年3月期(連結)は、売上高349億円(7.3%減)、営業利益31億円(27.3%減)、経常利益30億円(30.7%減)、純利益20億円(29.1%減)に見直した。配当も当初10円を14円(期末8円)に修正。設備投資21億円(前期8億円)に奮発した。2020年(70周年)にかけて事業100年の仕込み。30年(80周年)、40年(90周年)にかけて次の山がやってくる。太田社長(65)が大器晩成型で2016~17年絶好調だけに光って見える。愛知県半田市の新倉庫(6棟目)も面白い仕掛けだ。

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