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森羅万象

「柿うるる夜は夜もすがら水車」 達治 (2016.10.20)

昭和の風林史(昭和四九年十月十一日掲載分)
安全で有利だ 先物小豆の投機
いまの先物小豆は、
なににも勝るインフレヘッジの対象であり、
有利安全な投機物件である。
「柿うるる夜は夜もすがら水車 達治」
小豆相場は決め手難の気迷い場面だ。
間もなく広州での秋の交易会が始まる。
交易会での小豆の契約状況に穀物市場が、
ふりまわされたことがある。
二千㌧出来た、いや出来ない―
などと市場は一喜一憂したものだ。
農林省は本年北海道小豆の収穫予想
百六十一万俵という数字を出しているため、
輸入小豆に対しては消極的な態度のようだ。
生産者事情を思えば、
在庫豊富、供給不安なしの小豆を
輸入する必要はなかろう。
ところで今、世間を騒がせている問題に
核の持ち込みとアメリカの穀物輸出規制がある。
政府当局者は、ただでさえ頭のいたいときに、
もっと頭いたの問題が降ってきて
まさしくシドロモドロである。
核持ち込み問題は相場に直接関係しないが、
政局不安→株安→商品安という直線的思考もできるだけに、
嫌な感じだ。
穀物の輸出制限については、
将来、日本の農業政策を根本的に
改善せざるを得ないものを含んでいる。
大豆、小豆等の増産が、必ずや言われるであろう。
小豆の相場師的な考え方ならば
次のようになりはしないか。
大豆、小麦の価格高騰→増産。米価高騰→増産。
小豆は生産者にとって採算が見おとりする。
小豆の作付け大幅に減少→相場高騰。
49年産に対する先高期待→現物投資。
株式投資は、
目下のところ先行きの見通しが立たない。
土地に対する投機も税制面で妙味がなくなった。
そうなると、資産家はインフレヘッジに、
なにを求めればよいか。
先物市場の繊維、ゴム、バラ積み粗糖、生糸など、
株式同様不安がある。
その点、筆者は穀物市場に
長期的思惑の資金が流れるだろうと思う。
異常気象は今後とも続くであろう。
そして人類の食糧危機は現実に直面している。
昭和50年の小豆の作付け動向を考えた場合、
いまの先物小豆はなににも勝る有利な投機物件であり、
インフレヘッジの物件だ。
●編集部注
既に七日に小豆相場の日足には星が出ている。
星は何かを変える。
この週、巨人のV10は中日の優勝で阻まれた。
この時板東英二が歌った曲が
『燃えよドラゴンズ!』である。
【昭和四九年十月九日小豆三月限大阪一万六四九〇円・一四〇円安/東京一万六六八〇円・一〇〇円安】