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森羅万象

「散り急ぐ銀杏黄葉の夜も散る」 火臣 (2016.10.19)

昭和の風林史(昭和四九年十月九日掲載分)
基調上値指向 定期は割安だ!
産地は、これだけ戻しても古品小豆を売ってこない。
値段が気に入らないのだ。定期は割安だ。
「散り急ぐ銀杏黄葉の夜も散る 火臣」  
小豆の一万七千四、五百円どころの抵抗は、
かなり強いものがある。
北海道先限引き継ぎ線にも
一万七千二百円~四百円に大きなダンゴがあって、
これが抜ければ八千円相場も時の勢いであろうが、
およそ二千円幅を戻したところだけに、
攻防戦が展開される場面である。
ところで相場のほうは売り屋も、
買い屋も自分の玉の整理段階である。
安いところを買った人はひとまず利食い。
安値を売った人は、
このあたりでナンピンをかける。
市場の人気面は、
まったくといってよいほど弱い。
従って、相場が強張れば、
なお売り上がってくるだろう。
新穀の出回りを背景にしているから
気分的に売りやすいのかもしれない。
しかし、48年産(古品)二等中間で一万四千七百円。
十勝一万四千九百円の現物気配(8日朝)である。
また、これだけ相場が戻ったことから
産地の48年産小豆の売り物が急増するのではないか
と懸念されていたが、意外にも産地は冷静だった。
すでに中間地帯も石狩、空知等も鎌入れが終わった。
収穫して俵に入れる段階で農林省予測の数字一七八㌔が
現実には一五五㌔程度と、
かなり減少していることが注目される。
そういうことから農家も48年産(古品)二等小豆は
素俵の一万四千円以下は値段が気にいらず、
これを消費地価格にすれば一万六千円ということになり、
定期は、いかにも割安だ。
49年新穀になると農家は一万五千五百円以上で売りたい。
この値段に運賃その他諸掛かりを加えると
消費地一万七千五百円が最低となり、
やはり定期市場は割安である。
ともあれ、現物の売れ行きは順調であるし、
産地旧穀在庫は値段が気にいらぬため活発には動かない。
こういう状況が続けば必然的に年末需要最盛期にかけて
〝有りガスレ〟現象が判然としてくるだろう。
目先、先限七千円どころで押したり突いたりしながらの
小幅逆張り的な動きをするとしても
終局は七千五百円抜け→踏み上げ→
八千四百円(三分の二戻し)となりそうだ。
●編集部注
昨今、田中角栄関連本が多く出ている。
大半が賛辞であり。その中に文藝春秋も加わっている。
節操のなさに鼻白む。
「今太閤」ともてはやして、
その後「金権政治家」と叩きまくったのは
何処のどなた様達か。そのきっかけは
この日発売の月刊誌『文藝春秋』であった。
【昭和四九年十月八日小豆三月限
大阪一万六六三〇円・三一〇円安/
東京一万六七八〇円・三〇〇円安】