テイクオフ目前 福島印刷 10月12日 (2016.10.11)
BPO拡大が手掛かり
次世代のビジネスモデルを確立
福島印刷(7870)は上放れ。売上高4期連続ピーク更新の見通し。テイクオフ目前だ。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)によるもので、大手のほか中小の一角で台頭。技術開発、品質保証、情報セキュリティなどバージョンアップ。グーテンベルク(1440年頃)以来といわれる印刷業界の転換期。AIやロボット、IoTなど次世代対応に追われた企業の業務プロセス委託拡大が手掛かり。期待にこたえている。事実、前期の売上高構成比74.3%。うち事務通知のIPDP15億3500万円(28.2%増)、販促関連のDMDPサービス33億7100万円(7.6%増)。受注残もIPDP2億5900万円(67.9%増)、DMDP4億1000万円(49.8%増)と高水準。さらに続伸の見通し。ハイペースな設備投資によるもので、今期9億1800万円(前期8億7300万円)の計画。それも、最新鋭の高性能プリンター導入が決め手。償却負担(前期5億9300万円)が1億3000万円程度増加する上、人件費増も減益要因。胸突き八丁とみられる。2015年8月期、14年越し売上高60億円突破。以来2期で大台替え。次世代のビジネスモデルを確立した。地方自治体や金融機関向けIPDPと通販業者向けDMDPが主力。ともに情報処理の領域で08年高速インクジェットプリンターを北陸で最初に導入しブレークスルーの嚆矢になった。在来のBF(帳票類)前期12億6500万円、商業印刷4億2300万円も健在で顧客ニーズによるもの。前回述べた廣済堂(7868)と共同でDM・BOD(ブックオンデマンドサービス)を目指し、2月から稼働した埼玉のサテライト工場稼働が次のステップ。首都圏の一角に中継拠点が誕生しビジネスチャンス。廣済堂は、浅野新社長(67)のもと11月に新経営計画を発表する予定だ。2014年工業統計調査によると、印刷業の事業所2万5843。製造業24業種中5番目、全製造業の6.5%。出荷額5兆5365億円だが、ソフトや精密電子部品、産業資材関連を含め7兆5000億円との試算もある。同社は、一歩二歩抜け出した。
2017年8月期(非連結)は、売上高71億2000万円(7.9%増)、営業利益1億2800万円(62.3%減)、経常利益8800万円(42.9%減)と慎重な見通し。償却と人件費負担増を勘案したもので配当10円(中間5円)の予定。しかし、出足好調で上振れ期待。1Q発表(前期12月25日)が楽しみだ。来年も運気好調で下畠社長(61)が同運。18年(創業90年)、28年ターニングポイント。信頼性を欠くwebの時代に、後生に残すなら印刷が一番といわれる。同社にとって次の100年も印刷に変わりない。印刷なら5世紀後も閲覧可能という。