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企業レポート

地域社会と一体化 矢作建設 8月9日 (2016.08.08)

フル稼働に備える場面 

名駅再開発事業を視野に10年佳境

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矢作建設工業(1870)は好調。1Q連結7.4%増収、315.8%営業増益。4期連続最高益更新の見通し。尻上がりだ。期初受注残513億円(2.8%増)、1Q受注高159億円(18.9%増)に対し完工、採算の改善顕著。新体制1年有余で顧客本位・施工力向上に手ごたえ。「ニーズを上回る付加価値創造・提供」に傾注している。タイムリーな商業・物流施設など大型案件のほか、時間をかけた自社開発の大規模工業団地が貢献。直近5期、連結売上高が616億円から887億円に44%増加し、今後中期計画900億円、営業利益60億円(2018年3月期)に沿ってフル稼働に備える場面。建設をコア事業に強固なエンジニアリング基盤の確立を目指すもので、2020年東京五輪後、27年リニア開業(品川~名古屋)にかけて名駅再開発事業を視野。19年(設立70年)から10年佳境とみられる。来年4月、名古屋市港区の金城ふ頭にオープンする野外テーマパーク「レゴランド・ジャパン」隣接地の複合商業施設「メイカ―ズ・ピア」。同秋、スウェーデン家具大手「イケア」の日本法人が愛知県長久手市に9番目の店舗(売り場約2万㎡で最大規模)を出す予定で試金石。同社にとって指折りの案件だけに成功すると弾みがつきそうだ。前者推定20億円投資、後者100億円の物件といわれ、街づくりを通じて地域社会と一体化。建設業の核心に迫るものだ。同社は名鉄(9048)が筆頭株主。これまで連結6期連続増益。2020年着工と伝えられる名駅再開発事業最大の施主にあたり、13年9月JR東海(9022)がルート案を発表しボルテージが上がってきた。再開発構想によると、JR東海、名鉄、近鉄、名古屋市営地下鉄乗り入れに高速道路を直結したオランダの首都アムステルダム型。一日最大900本の列車をさばく名鉄名古屋駅、バスターミナル、高速道路など立体交差。稼働しながら名鉄百貨店から日生笹島ビルまで南北400㎡のビルを一本で結ぶ前代未聞の大工事。あらゆる場面で関与が考えられる。同社は名鉄と同様に2016~17年上昇運。高柳社長(54)が16年から上昇運入りで順風。2020年にかけて本格的な仕込みにつながる。

2017年3月期(連結)は、売上高900億円(1.4%増)、営業利益76億円(3.4%増)、経常利益(3.8%増)、純利益50億円(7.2%増)の見通し。さらに2円増配し24円配当(中間12円)の予定。設備投資6億4500万円(前期25億9400万円)の計画。1Q上振れした印象だがトータルで計画線という。このところ単元株主が増加し前期末4934人(2012年3月末3833人)。6月29日の総会に75人出席があり3期振り質問なし。35分で終了したという。4期連続最高益で連続増配の見通し。文句のつけようがない。前期の受注が114億円(23.3%減)にとどまった耐震補強工事に対し、これまで公立中小学校で蓄積した営業ネットワークやノウハウを活用。その他の官公庁設備や行政が耐震化を促す緊急輸送道路沿線の民間施設に裾野を広げるという。7月から子会社が戸建て事業に参入。分譲マンション「バンベール」シリーズのエキスを抽出したものだ。同21日、全国建設業協会と国土交通省中部地方整備局から社会貢献、優良工事・同技術者表彰を受けた。人材育成が急務になっている。

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