昭和の風林史 (昭和四九年七月二十七日掲載分)
手亡の新規買いは、ゆっくり間に合う。
小豆も今始まったばかりの若い相場だ。S高含み。
「百日紅この叔父死せば来ぬ家か 林火」
大阪穀取が天神祭で後場休会しているあいだに
他市場の相場が走った。
隔週週休二日制になって、
取引所は地域社会のお祭りでも休会しないようになったが、
大穀は伝統を重んじる。
人は感覚がズレていると評する。
阿波座の、ぬるま湯のよさであり悪さであろう。
東京小豆先限は
昨年七月13日の天井値段を買い切ってしまった。
あとは46年10月七日の〝増山相場〟の
大天井値段(東京)二万一千三百六十円があるだけだ。
市場では二万円を付けたら押すと見ている。
深く押すか、浅く押すかであるが、
ものの千円は下げきれないから、
二万円乗せの後の惜しめは、
売り方はドテン買いの最後のチャンスだし、
買い方は利食い後の再度の仕込み場になる。
見ていると利食い足が早くなっている。
踏みも出ているが、このほうは、
まだまあ総煎(い)れにはならない。
二万円を付けたあとの相場は、
ピッチが早くなるだろう。
二万一千円→二万三千円は修羅場である。
売り方は千千(ちぢ)に乱れる。
相場が沸騰しているのは
日本の穀物市場だけではない。
ロンドンの砂糖取引所はストップ高で
史上最高値を突き抜いて湧いている。
シカゴもニューヨークも熱狂している。
手亡は第一次の規制(増し証)で
いよいよ判り易い相場になった。
まだ間に合うから飛び乗り充分だ。
手亡の二万三千円は見えているから、
仮りに崩れたり(あり得ないが)利食い押しや、
警戒人気で安ければ涼しい顔でもよいし、
ニヒルな顔でもよいから買う事。
小豆の玄人筋は呻吟している。
新値、新値は踏み、踏み、踏む、踏むである。
日柄、日柄と弱気筋はよく言うが、
それは不運なわが建て玉が可愛いから
(不憫な子ほど可愛い)
日柄の目数(かず)を読むのに
遠いところから読み込んで自分を慰めているわけだ。
筆者は、この小豆、若い相場と見る。
一カ月のダンゴ六月28日と七月8日の高値を
付き抜けたところからが相場で、
十月限は五月一日の七千六百九十円抜けから買っても、
千五百円幅は取れるし、九月限も成り行き買いだ。
●編集部註
やめろと言われても
今では遅すぎた
私事ながら通勤中にラジオを聴く。
先日、昭和四九年七月のヒットチャ ートが特集されていた。
西条秀樹の『激しい恋』はこの月のヒット曲だ。
【昭和四九年七月二六日小豆十二月限大阪一万九六五〇円・六〇円安/東京一万九六七〇円・一四〇円安】