昭和の風林史 (昭和四九年七月十一日掲載分)
頭づかえながら一度下げておいて、
それから出直せばよい。
当面安い事は楽しみを先に伸ばす事だ。
「ひるがほや川となり又みちとなる 蚊杖」
商品市場全般に参院選の〝後遺症〟
(自民党の伸び悩み→物価抑制策の継続)が残っている。
去年は猛烈買いの第一波二、三月狂乱のあと、
いま時分、第二波夏の陣六、七月猛烈高の最中であった。
西日本各地は水不足で大騒ぎしたものだ。
今年は集中豪雨の被害があいついでいる。
東海道本線は不通箇所がまだ直らない。
そのため新聞の発送をトラック便に切り替えたが、
本紙の配達は各地とも遅れている。
雨が降らねば降らぬで去年のようなことになり、
降れば降ったでこのありさまだ。
小豆相場のほうは目先的に天井観が台頭している。
週明け、一気に買いきれなかったことを重視するのだ。
「伸びが鈍い」。「腰が重い」。「頭重し」。
相場師は、ちょっとしたことでも気にする。
見えないものを見ようとし、
聞こえないものを聞こうと全神経を配るのだ。
だから〝気味〟(きあじ)が悪いと思えば、
躊躇せずポジションを切り換える。
素人は、その点、転換が鈍い。
利食いは早いが引かれ腰が強い。
ポジションの切りかえにしても
チャブつきになりやすい。
さて小豆の線型は11月限で見ると
一万八千五百円から九千円までの圏内に
16本の日足が群になっている。
六月20日と21日のストップ二発で
打ち上げた花火が傘のように開いた格好である。
「それ二万円!!」と、
この圏内を飛びつき買いした人が多いと見るべきだ。
それらの玉が皆アドバース・ポジションである。
アドバースとは逆行。即ち損勘定である。
相場(11月限)が一万八千四百円を割り込めば
ストップ・ロス・オーダー・ラインに入る
即ち損切り注文、日本流に言えば投げ場である。
産地の天候と今後の作柄によっては、
気崩れした相場が、六月20日前の水準、
11月限の一万七千五、六百円に
垂れ込む可能性もあるわけだ。
12月限の一万八千円割れを考えている人は、
多分、前二本(7・8月限)の、
あまりにも重そうな線型に嫌気がさしているはずで、
いつまでも続く実需不振と織り込まれた天候不順。
それらをグラフの上で
スカーッと表示しなければならないと思っているはずだ。
●編集部注
後に「七夕豪雨」と呼ばれる豪雨と、
日照りと荒れた相場が一度に日本にやって来た。
【昭和四九年七月十日小豆十二月限大阪一万八五八〇円・二六〇円安/東京一万八四三〇円・三二〇円安】