証券ビュー

紫玉庵

TPP考(中)   10月29日    紫玉庵 (2011.10.28)

ウォール街を占拠せよ

日本のソフトを求める世界

 

消費者に歓迎されるものを

作らない限り、価格が安くても、

日本では売れません。

マーケットで何が売れているのか、

今、一番見つめているのは、

中国とアセアン諸国です。

「日本人が買っているなら安心だ」

「日本で売れたら世界で勝てる」

と真似しようとしています。

しかし、ソフトであるノウハウは

一朝一夕で真似できるものでありません。

まして、アメリカの金融資本が、

こうしたソフトを

蓄積しているわけではありません。

日本の強みは、

質の高い製品であったことはもちろんですが、

実は、その背景にあるソフトと考えます。

日本でも

いかがわしい商行為を行う人たちが存在します。

たとえば、米の問屋は、

いかに、本来の銘柄でない別の米を混ぜて売り抜けるか、

これが利益の糧になっていました。

新潟県が調査したところ、

100%新潟コシヒカリと表示したコメの

30%以上他の米が

ブレンドされたものであったそうです。

今では、消費者自身が、

直接、生産農家と契約するなどの動きが強まり、

良いものを自ら探すという動きが始まっています。

米国内は、マネーだけまさぐり、

他者が作ったものを消費することに、

慣れた人間が圧倒的に多いのが現実です。

これを、輸出大国に切り換えるには、

何が必要か、人口3億人。

TPP対象は、日本も含め、

今のところ、7億人未満。

しかし、GDPで見ると米国と日本で

90%を占めますので、

TPPを押し出してくる米国の意図が

対日本であることは明白です。

TPPには、

間違いなく、日本の「体制」を壊す、

毒の要素があります。

しかし、現場で、消費者に歓迎される「価値」を

生み出している人間にとって、

国内の狭い市場のみならず、

自ら、師匠の立場になって、

世界展開できるチャンス

にもなるのではないでしょうか。

何も農業分野に限りません、

正しい人間は、堂々と公開しますし、

1対1での、ダイレクトな信頼関係を求めます。

そして、生産と消費、

さらに、その中間の流通でも、

お互いが存続できるように、

お互い理解し、支えあいます。

TPPによって日本の「体制」が

壊されると憂えている間にも、

国が本来、持っている力が、自分自身では

何ら「価値」を生み出さないシロアリたちに

食い荒らされていることを危惧します。

TPPは米国のような外から飛んでくる害虫による

外的な側面だけでなく、

国内に従前巣食っているシロアリたちの

「国内問題」でもあるわけです。

ひょっとすると、

日本は既にシロアリに食い散らかされ、

外から来る害虫は

それほどおいしいものを食べられないかもしれません。