昭和の風林史(昭和四九年五月十五日掲載分)
まだ売り込み不足の中途半端な人気と値の居所。
じっくりと安いところを、押したところを拾う。
相場は整理不充分。汚物がノドにつかえているようで、
気分がすぐれない―という表情だ。
作付けは減る。晩霜の恐れもある。
外貨ワクは今の情勢では出そうにない。
盛夏期の天候不順が懸念される。
お金の値打ちが下がるのに反比例して、
小豆の下値が切り上がっている。
―とまあ、先に行って強気思惑の楽しみを内蔵している。
このため、
高値づかみ玉の投げ→売り込みの段階には至っていない。
これは当~先限の二千円ザヤ、
限月間のサヤの開き加減
(七月限と十月限は約千円ザヤもある)
からも歴然としている。
強気筋も「もっとサヤが縮まらないことには
積極的に買う気になれない」と。
してやったりと攻勢に転じた弱気は
「よほど情勢に変化がない限り、
荷の重味でサヤはげ現象」と。
どちらにしたところで今月は
ホクレンの渡し切り意向、
ザラ場で大量に手当てした業者の渡し物を
かぶるのだから、
今となっては大きな期待は持てない。
では来月はどうか?
新ポの十一月限の生まれは?
ここで戸惑い顔を見せるのがやはり買い方である。
先の全穀連格付け委員会議で
十一、十二月限の新旧格差は千円と決まっている。
最低千円の上サヤを買わないことには、
実質的には「逆ザヤ発会」だ。
七~八百円程度では力のない証拠―と嫌気されようし、
千円サヤを買って一万八千円生まれなら、
二万円目標に買うにしても値幅に妙味がない。
つまりは巻き返しを図るにしても、
現在の値ごろ水準では甚だ中途半端なわけ。
相場の方は当限の一万四千五百円、
先限で一万六千五百円あたりの、
ごく常識的な目先観が支配するところ。
ちぎっては投げる―の場面が入れば、
一挙に灰汁抜けのコースだが、
このあたりでもたもたと歯切れが悪いようだと
時間がかかる。
だが、下放れたといったところで、
大きな目でみればもみ合いの逆張りの域を出ていない。
この程度でギャアギャアわめくこともない。
安ければ安いなりに、
将来に目をすえて買い仕込むところ。
●編集部注
気迷い相場の中、東京に新しい店が生まれる。
江東区豊洲の酒屋から
初のフランチャイズ一号店となったその店の名は
セブンイレブンという。
【昭和四九年五月十四日小豆十月限一万六八五〇円・一五〇円安/東京一万六七六〇円・五〇円安】