証券ビュー

森羅万象

目先崩れ待ち 万人常識的強気 (2016.05.13)

昭和の風林史(昭和四九年五月九日掲載分)  
このままでは上に行けない小豆相場だ。
目先は崩れ待ち。
千円押し地点から買いになろう。

「濁江の彼方五月の沖蒼し 秋桜子」

「正月ごろより三、四月まで、
天井値段にて(注・高水準にて)もちあいの相場、
五、六月のうち必ず下るべし、
五月充分下る時は六月きわめて急上げなり。
五月下らざる時は六月必ずして下ると心得るべし。
疑いなし。五、六月の下げは二十一日まで、

さっぱりと手仕舞うべし。
他の月の下げは二十九日~三十日まで下がるものなり」
本間宗久秘録より。

また、こうも書いてある。
「五月中旬より六月中の相場は、
急に上げる時は、また急に下がるものなり。
急に下げる時は上も同断。
七、八、九右三カ月の間にて高下も同様なり」―と。

小豆相場を見ていると、
なんとなく下放れしそうである。

九月限で六千五、七百円のあたり
が瞬間的にあるのではないか―と。

人気が強い割りに相場に力がない。

くたびれた七千円台。

手垢によごれた七千円。

そのような感じだ。

くたびれた相場は休養を必要とする。

手垢によごれた相場は
クリーニングを必要とする。

水はけが悪い。風通しがよくない。
油が切れている。エネルギー不足。
B欠、酸素欠乏―。

そういう相場だ。

誰もが先高期待で、冷害・凶作の不安。
二万円相場。大相場。仕手介在。
米価高。物価高―という諸材料と
要因を知りつくしているから、
強気はしても売ってこない。

売るのはなんとなく怖い。

万人皆常識的強気の市場である。

だから相場は上げられない。

悶悶(もんもん)の情だ。

こういう時にスカーッと
剃刀(かみそり)で薄い線を引くように
切ってしまえば、うっ血症状が抜けて晴々する。

本間宗久伝にもあるように、
急落する場面があるのではなかろうか。

左様。大きな上値を期待する以上は、
ここでの千円下げ、
即ち九月限の一万六千七百円どころが欲しい。
欲しいというよりは下げるべきだ。

このままでは上に行けない。
仮りに反発してもそれは気まぐれな戻りでしかない。

目先、崩れ待ち。

●編集部註
読み通り、実勢相場は
待ち焦がれた〝崩れ〟の相場がやってくる。

しかも買い方の相場心理をポキリと折り、
売り方を心躍らせる大陰線を伴って。

熊本地震はなお余震が厳しいが、
この年のこの月、
日本では伊豆半島沖で地震が発生している。 

ここも過去地震が起きなかった地域であった。

【昭和四九年五月八日小豆十月限大阪一万七六八〇円・二一〇円高/東京一万七五六〇円・二一〇円高】