円の高値更新が手がかり 出口と入口決める経済の力学 (2011.10.25)
鞘寄せ一辺倒。アクセルとブレーキを一緒に踏んでいる状態。26、27日が焦点になってきた。EU首脳会議パート2。総論から各論に進み、踏み込んだところで力不足。事実上先送り、拍子抜けとみられ、今月決算のファンド中心に失望売りが広がると述べた。29日セットされた世界規模の抗議デモ、11月3日カンヌG20を控え予断を許さない情勢。その点、21日2ヵ月ぶり円ドル75円78銭をつけ、史上最高を更新した円高が手がかり。国家財政が実質破綻しているにもかかわらず、震災後再び高値を更新しており、市場は円安にひっくり返った時の反動まで織り込んでいる。つまり国債がさらに格下げされ、円安に振れると輸出採算が大幅に好転するわけで、結局円が買い戻される仕組み。日柄と値幅を黄金分割で計算すると、来年2月にかけて74~71円。最後の円高と重ねて述べた。円ユーロ、ドルペッグ制の人民元も現体制を維持できるかどうかぎりぎりのデッドライン。カウントダウンに入った。緑の革命といわれるチュニジアで初の選挙が行われる時代。先進国も新興国も中世同様混沌としてきた。しかし、出口と入口を決めるのは古今東西経済の力学。経済が行き詰まってこそ体制も変わる。日本の不良債権処理もEU首脳会議と同じ小出しの連続。阪神大震災をきっかけに兵庫銀が破綻し、98年山一や長銀まで3年余りで大本営発表、小出しも打ち止め。公的資金を強制投入しメガバンク中心の体制に改めた。欧州の場合、2度の大戦で焦土となった危機感が政治主導の主因。東西ドイツ統一から経済のバランスが崩れ、現在のEUも無理に無理を重ねた。このため、今では落伍したギリシャがユーロ圏から自立するにはどうすればいいかが本音のテーマ。ギリシャが出ても、従来のシステムを一新しないと復活しない。英国はユーロ圏に入ってないが、金融機関がギリシャに貸し込み抜き差しできない状態。痛みに耐えられる範囲で合意を取りつけ時間稼ぎするほかない。経済の成り行きが決め手になる。中世は秩序がなく暗黒の時代といわれたが、現在いくらかマシとみられ、何も足さない引かない、出来ない日本が次の時代のシンボル。根底に円高でなくドル安。次の大国が出てこない。そこで国境を越えた日本の企業部門に真価を問うわけだ。米国も9月に郵政公社4200億円の健保補助金積み立てを11月18日まで支払い猶予。デフォルト寸前に追い込まれた。下げの第2波持ち越し、10、11月まで追っかけてくると述べたが、来年2月までかかりそうだ。
日経平均は165円高。後場PMI(中国製造業購買担当者景気指数)改善を手がかりに一段高となり8843円の引け。出来高13億3900万株、売買代金8400億円。3日ぶり反発した。薄商いにかかわらず緊迫している。ゴールドマンが工作機械はじめ資本財メーカーのレーティングを引き上げ。後半下振れしても割安という。■■■■■(****)が1万2540円と堅調。25日の決算発表待ち。一連の機械株も値を飛ばした。■■■(****)も1778円で引け27日発表待ち。■■■■(****)1058円、■■■■(****)457円と堅調。それぞれ11月8、9日発表待ち。26、27日の結果にもよるが、買い先行だけに発表売りの公算が大きい。■■■■■(****)の切り返しに見どころ。9月から持ち越したが、ギャンブル法案がくすぶったまま。31日の発表から面白い。(了凡)