証券ビュー

企業レポート

意外なほど前向き 岡谷鋼機 4月6日 (2016.04.05)

次期中期計画を発表 

連結3期純利益最高を更新し正念場

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岡谷鋼機(7485)は一服。今期連結横ばいの見通し。昨年8月から調整場面とみられる。原油安、中国リスク、米国利上げの反動など円高株安が主因。実体経済に跳ね返っているもので、昨年10月調整3年と述べた。前期末の日経平均が2800円下落し、投資有価証券評価損302億円を計上したように、株価を見ても5株を1株に併合した経緯から2年前の水準。連結3期純利益最高を更新し正念場を迎えた。そこで、2019年(創業350年)を踏まえ次期中期計画を発表。成長市場、先端商品・技術への挑戦をはじめ6項目の事業戦略によるもので、連結売上高1兆円、純利益200億円が目安。前中期計画1兆円(前期実績7854億円)、100億円(同128億円)、30%(同31.6%)でGih-15(2011~15年度)を総括し、Gih-2020(2016~20年度)を立ち上げた。昨年6月からグループ挙げて話し込み。部門や子会社ごと全員参加で現状とあるべき姿を討論。定性と定量の積み重ねにより現場から具体的な目標が決まった。8500億円、150億円、35%(2018年度)を中継地点に新事業・新分野30%が目標(2020年度)。10%でも上々で士気の高さがうかがえる。価格変動の中で勝ち残る能力と柔軟性を問われる5年。従来の原理原則が使い物にならず変化に適応を迫られる場面。ものつくりをベースに改良・改善が決め手になりそうだ。ロボットやAI(人工知能)、IoTのほか航空機ビジネスがMRJを口火に下請けから完成機レベルに脱皮。地元(愛知県)で天の時、地の利、人の和も追い風になりそうだ。4月に米国子会社がインディアナポリス事務所を開設。インドネシア子会社もスラバヤ事務所を開設するほか、来年1月中国北京の子会社が天津子会社を吸収合併する見込み。耳寄りなのが、日本三景宮城県松島のトマト。今夏出荷される運びで被災地の復興を後押しするのが狙い。現地資本と合弁でオランダ式農業生産法人「マキシマファーム」(2014年9月設立)によるもの。水耕栽培で収穫量露地ものの5倍。1ヘクタールのガラスハウスで年330トン生産を目指すほか、同社の海外拠点を通じて輸出も検討中。首尾よく雇用を生み納税できれば一石三鳥。生活産業事業(前期構成比7.8%)の発奮を促し、TPPと相まって食品や加工部門のブレークスルーにつながる。

2017年2月期(連結)は、売上高8000億円(1.9%増)、営業利益160億円(1.9%減)、経常利益200億円(2.6%減)、純利益130億円(0.9%増)の見通し。5円増配し170円配当(中間85円)の予定。前期実質10円増配している。設備投資30億円(前期53億円)の計画。Gih-2020を通じて同レベルという。4月1日の入社式で岡谷社長(71)の訓示が明らかになった。同社が創業来この地で347年続いているのは諸先輩が受け継いだ信頼のたまもの。新しいことに挑戦することも大切。ものつくりに貢献し、海外でも国や地域の発展に資する高い気持ちをもつこと。時代に向き合い、人に寄り添うことが大事という。新計画も初年度が発射台。今期の仕込みが前途を左右しそうだ。昨年後半から調整運。社長も同運だが、意外なほど前向き。現にトヨタ(7203)の「ミライ」に乗り、新時代の到来に一役買っている。名商会頭(28代)もこなし元気一杯だ。

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