証券ビュー

森羅万象

迷宮の出口 買い方針を一貫 (2016.03.17)

昭和の風林史(昭和四九年三月十三日掲載分)
エネルギー発散は七千円抜けから。
新穀の呼び出し相場は必至。
押し目待ちに押し目なしの展開。
おっかなへっぴり腰で一万七千円を窺っている。
東の市場は監督長官のお膝元ともあって
神経を尖らせている気配がありありと出ている。
反して大阪、名古屋は
それほど意識過剰にはなっていないようだ。

暖候期予報に対する受け止め方は
各人各様だから、どうひねくり回したところで
大して参考にもなりそうにない。

ただ、類似年として
昭和三十八年、四十三年を挙げている。
両年とも共通しているのは、
播種期から開花期前後までの天候が比較的よく、
あと結実―収穫までの天候が
低温、不順であったことだ。

38年の反収二・三二俵
(推定実収高百二十二万五千俵)

43年の反収二・三五俵
(推定実収高百九俵)

平年作の反収二・四五~二・五〇俵からすると、
決してよいとは言えないが、
冷害というほど極端に悪くはない―というところ。

ところで相場の方は派手さはないものの、
ジワジワと下から押し上げる強さがある。

出来れば今週一杯、日柄の目を
一ツ、二ツ、三ツ…と数えつつもみ合えば、
絶好の仕上がりとなろう。

ゴッホが
「もう絶対に私の書く絵を売る気はない」
と叫んだときから、
彼の絵には生命が脈打ちはじめたという。

小豆相場も
一万七千円のとりでを攻略したときから、
活活と本来の動きを取り戻し、
内包するエネルギーを思う存分発散させよう。

いま判っていることといえば、
途方もないエネルギーを持てあまし気味なのと、
「上がらない限り下げられない」
という厳然たる事実だ。
人はこれを新穀の〝呼び出し相場〟という。

なるほど、ホクレンのつなぎは
一万枚(四十万俵)に達しているかもしれない。
そのほか業者のつなぎも
五千枚を下だらないと推測される。

一見多いように映るが、
これは消費地各市場に分散し、
四~八月の各限月に大なり小なり
ハメ込んだ数量だ。
しかも、輸送事情、
保管料(消費地の方がはるかに高くつく)の関係で
その大半は海を越えていない。

大きく突っ込めば買っても―
というのは淡い期待、
ほんのご愛嬌にすぎないのである。

●編集部註
 三月もここまで過ぎると、
日足に刻まれるローソク足の中でも
四日の陽線の異様さが目に付く。

 海外でも〝アイランドリバーサルギャップ〟
と呼ばれるこの相場形態は、
暴落を予兆となる星だ。

【昭和49年3月12日小豆八月限大阪一万六七九〇円・五〇円高/東京一万六六五〇円・六〇円高】