証券ビュー

森羅万象

実勢は買いだ 長期的強気方針 (2016.03.14)

昭和の風林史(昭和四九年三月九日掲載分)
張りのない相場は仕掛ければ損である。
しかし大勢買い有利であることには間違いないところ。

証券も商品相場も
まったく活気を失ってしまった今週である。
何が彼女をそうさせたか」というと
古い良き時代の映画の題名であるが、

「何が相場をそうさせたか」ではサマにならない。

これはいうまでもなく、
前月末からの政府の躍起の物価鎮圧策に
相場がハリを失っているからである。

相場は生き物である。息をしリズムをもっている。
それがハリを失うと
いくらご馳走が目の前にあっても
体の調子が悪い時は食欲が湧かないように、
相場も好材料を受けつけない。

小豆相場も五日の四大消費地の在庫発表で
出庫が二八(ニッパチ)月というのに
前月比三万二千俵増、昨年の同月と比較すると
四万二千俵も多かったが、
完全にそっぽをむいてしまった。

それに農林省が一万七千円以上になれば
規制を強化する?
という出所不明の情報も流されて
売り急ぎ気分が強まり、
ズルズルと無気力に値を消してきた。

実需好転、そして今年の場合は
はやばやと天候不安人気の
台頭という大きな支えもあるが、
ここは当面、
大きく相場が動くことは期待できない。

相場が相場的な材料で動かなくなった時は、
それでもカッカして仕掛けると必ず損をする。

なぜ一万七千円以上が悪いのか
といってみても始まらない。

しかしどう考えても大勢的には
買いに分があるようだ。
目先を売って相場のアヤを
取りにゆこうとすれば、
一度や二度は取れても三度目には失敗するだろう。

なんとなれば一万七千円という小豆の値段は
現在の雑豆類の国際的価格水準からみて
高いどころか安い部類に入っている。

昨年の今ごろまでは日本の小豆は
「赤いダイヤ」といわれるだけあって
世界で一番高い部類のものであった。
それだから、中国、韓国、台湾はおろか、
遠くカナダやコロンビアでも
栽培されるようになったものだ。

だが、今ではほとんどの豆類の値段が
トン当たり千㌦を突破しているとなると、
一万七千円としても換算すれば
千㌦以下の小豆を生産者が売りしぶるのは当然であるし、
それをカラ売りしてもはじまらないのではないか。

●編集部注 
 ぼやいている。
活気がないとぼやいている。

 現在の国内商品先物市場を見ている者からすれば
贅沢なぼやきである。

 ぼやく気力も今はない。 

 多分端境期なのだろう。これから何かが変わる。

 そういえば、東商取がスタジオを作っていた。

【昭和四九年三月八日小豆八月限大阪一万六八一〇円・三四〇円高/東京一万六六九〇円・三五〇円高】