昭和の風林史(昭和四九年三月八日掲載分)
絵に描いたような三分の一押しコース。
一貫して増え続ける取り組み。
目下エネルギー蓄積中。
呼吸戻しともいうべき反発のあとは、
お定まりのダラダラ下げ。
冴えない地合いだ。
上げ幅の二千八百円の三分の一押し地点は
一万六千二百円どころ。
それで止まらないとなれば勢いで
六千円割れのコース。
充分に考えられるケースであるが、
そうした叩き込み場面は、
また買っていくのが判りやすい。
目下の市場は、その立場上、
規制をほのめかさざるを得ない主務省の見解に
こだわりすぎのキライがある。
相場は、まるでフィルター越しというか、
ひどく間接的ですっきりとしないこと
おびただしい。
ところで、例年のことながら
新三等のことがボツボツ話題になるところだ。
すでに新穀一本の受け渡しである北海道の二月納会で
その半分近くが三等で占められ、
その後の早渡しなど消費地市場も四月以降は
三等が優先して出回るのではないか
―という危惧がある。
三等といえば
格下(十勝、北見で千百円、中間物で千二百円)ながら、
末端には売れにくい。
半面、生産者側にすれば検査基準に通りやすいから、
いきおい三等作りに励み定期へつなぐことになる。
さしあたって、ホクレンあたり
大量につないでいる四、五月限だが、
東京の某現物大手問屋では
『実際に出回ってくるまでなんともいえないが、
四月はそれほど多くなさそうだ。
ただ品質の悪いものを
早く処分しようという産地の空気からして、
消費地の受け渡しに占める比重は
月を追って高まる可能性がある』と、
半ば楽観、半ば警戒の口ぶり。
さて、小豆相場のほうだが、
時の人・静岡筋の〝手〟が少しおかしくなりはじめた。
ゴム、乾繭、生糸と間口を広げ、
ひところは飛ぶ鳥落とす勢いであった。
ここにきてゴムあたり「売り仕手に転換?」
という声が出る辺り、
ちょっと見くびられた観がなきにしもあらず。
桑名筋の新規売りも、
いまはまだ枚数も売れているが
玉が膨らねばはたしてどうなるか?。
市場内部要因、現物動向、政治―と、
いろいろあって、
縫うように取る(相場を)巧者筋も数多いが、
今年はやはり図太く強気一貫するのがよい。
「技巧という最も下手なテクニック」という言葉もある。
●編集部註
曲がり道に入った―。
1カ月スパンの投機家はこの記事を読み、
そう思ったに違いない。
ただ長期スパンでこの読みは見事的中する。
やはり相場は時間なのだ。
【昭和四九年三月七日小豆八月限大阪一万六四七〇円・二九〇円安/東京一万六三四〇円・三一〇円安】