4Q追い込み トランシ― 3月1日 (2016.02.29)
三たび中期計画に挑戦
四日市港のコンテナ取扱を戻す
日本トランスシティ(9310)は尻上がり。3Q連結累計2.8%増収、25.8%営業増益。計画に対し売上高74.9%、営業利益85.1%の進捗率。期末追い込みに入った。四日市港のコンテナ取扱が見込みより落ち込んでいる模様で、連結子会社と海外取扱拡大が増収の手掛かり。1998年以来定率の建物償却を今期から全有形固定資産定額法に改めたのが増益の主因。バランスが改善した。前期立ち上げた中期計画で「新しい価値を創造する企業に生まれ変わる」旨を表明。スピード感ある革新的ソリューション、国内外ロジスティクス拡充を打ち出した。3Q連結累計総資産990億円(前期末1002億円)、同自己資本比率50.7%(同48.5%)にじわり出ている。何より同計画の設備投資200億円が目玉。昨年7月創業120年を数え、戦前戦後を通じて3度目のビジネスチャンスとみられる。前回述べた飛島の新物流センター(自動車部品)をはじめ、埼玉県幸手市の事業用地1万6850坪、2月26日発表した四日市港の新倉庫「霞北埠頭流通センター」1万6600坪など仕込みの段階。10年スパンで回り出すだけに原油安、追加緩和限界、ネガティブ金利など時間をかけて吸収。インフラ整備に余念がない。全国12の通関と海外13ヵ国27拠点を結ぶもので、「WALTZ」(国内倉庫管理システム)、「ILIS」(国際情報システム)を駆使したサプライチェーンの見える化を実現。いいポジションにつけている。ひところシャープ(6753)で持ち切りだった亀山物流センター。ホンハイが買収しても影響ない。落ち込んだ海上コンテナ取扱を戻すことが課題という。四日市港管理組合が発表した中期計画(4年)によると、今期新設した荷主企業補助金支援により2018年度総取扱貨物量6400万トン(14年度比3.3%増)、外貿コンテナ取扱個数25万TEU(20フィート換算=同39.4%増)が目標。昨年開港116年を数え120年がターゲット。同社の管理部門が昨年9月「四日市港ポートビル」(開港100年の1999年建てられ高さ100㍍)に移ったのと無縁でない。
2016年3月期(連結)は、売上高940億円(1.6%増)、営業利益36億円(15.9%増)、経常利益43億円(6.1%増)、純利益30億円(7.5%増)と計画通り。配当9.5円(期末5円)を据え置く予定。設備投資40億6000万円(前期29億6300万円)。2016年伊勢志摩サミット、20年東京五輪、21年三重国体など追い風。16~17年運気好調。小川社長(67)も同運で期待をもてる。2013年3月期から国際複合輸送・その他が2ケタの高い伸び。今期187億円(1.3%増)の予想だが、トラック、船舶、鉄道、航空輸送など日本と欧米、アジアの連携によるもの。海外が過半を占め100億円大台替え目前。鳴りを潜めていた鈴鹿も、軽と小型車に集約され息を吹き返す見通し。来期、三たび連結売上高1000億円、経常利益50億円(2017年3月期)に挑戦する。