昭和の風林史(昭和四八年十二月二七日掲載分)
大納会、小豆相場が安かったり、
もちあえば、絶好の買い場になる。
新春再び強烈な上場へ。
「行年の人や険しき秤の目 泊雲」
本紙もこの号で年内の発行を終わる。
今日商品市場は大納会。
油ひくのこや鉋や斧仕舞(暁雨)。
とのぐもる終ひ相場やあわただし(与喜)。
商品相場は最後の最後まで荒れた。
さて、新春の小豆相場をどう見るか。
ひとことで言えば、相場の寿命がのびた。
石油は入ってきても
価格が非情に高くなっているし、
石油情勢はまだまだ流動的であるため楽観は出来ない。
国内物価は、一度値上がりしたものは
下がりにくいと思う。
年が代わると小豆相場は①天候の問題
②作付け面積と農家の生産能力
③外貨―輸入小豆―中国の動向④在庫と売れ行き
⑤産地の小豆と流動問題
⑥経済不況下の投機資金の動き
⑦市場管理の問題
⑧食糧危機と世界的な穀物需給―等々、
いろいろな要素が複雑に入り組む。
結論を言えば、小豆相場は
石油事情が緩和されても
新春は宿命的に高騰すると思う。
輸送事情=春闘は
二月、三月、四月と激化する。
国鉄貨物輸送は未曾有の混乱が予想される。
天候=例外、凶作と見たほうがよい。
作付け面積=石油値上がりによるコスト高が
農作業に、どう反映するか。
小豆の価格と生産費と天候の予想がからむ。
投機熱=不景気になれば
ギャンブルとスペキュレーションは
エスカレートする。
在庫と産地の現物=仮需要によって
実需が不振でも価格水準は常に維持される。
しかも49年が
冷害・凶作という可能性が強いだけに
先高人気は継続するだろう。
小豆を単にアンコの原料と見ずに
流通性のある投機対象の人気商品と見るべきだろう。
ケイ線的には
六月限の一万八千円が充分に予測出来る。
大納会、利有り玉の利食いや
石油緩和で売られるならば、
これこそ絶好の買い場となろう。
買い玉を抱いて越年。
これがとんでもないお年玉になるだろう。
本年の御愛読を深く感謝し、
各位の御健康を祈ると共に、
よいお年をお迎え下さるよう念じて筆を置く。
●編集部註
ニクソンショックに始まり、
トイレットペーパー騒動に終わる激動の
高度経済成長期の最終局面が
これにて終焉を迎える。
激動の小豆相場も、
ここまでの上昇でいったんピーク。
本当に相場は意地悪である。
ツンデレの〝ツン〟の部分が過ぎる。
【昭和四八年十二月二六日小豆五月限大阪一万六九〇〇円・二七〇円安/東京一万六九〇〇円・二九〇円安】