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企業レポート

予想以上の折り返し スズケン 12月16日 (2015.12.15)

今、来期仕込み大詰め 

10年がかりトップ返り咲き目指す

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スズケン(9987)は連結好調。予想以上の折り返し。脱皮しきりだ。医療用医薬品のシェア上昇によるもので、2Q累計納入価ベース10.6%増(市場6.7%増)、薬価ベースでも11.2%増(市場7.7%増)と高い伸び。中期成長戦略2年目から結果が出始めた。C型肝炎治療剤、抗悪性腫瘍剤、生活習慣病関連の市場拡大が主因。総価から単品単価取引移行を巡る粘り強い交渉などの流通改善にも力強く取り組んだ。このほか、中国・四国・九州を結ぶグループのシステム一本化と来年4月名南物流センター稼働が焦点。今期連結256億円(前期132億円)の設備投資が次世代インフラの決め手。日本の高齢化社会を見越し製造、卸、保険薬局、介護事業など医療流通プラットホーム本格化に備えるもの。65歳以上が3000万人を超え、800万人の団塊世代が75歳以上になる2025年が目安という。住宅、医療、介護、予防、生活支援が一体になった地域包括ケアシステムの構築が急務となり、事業領域を「健康創造」に定めた同社にビジネスチャンスが到来した。1989年300社以上あった医薬品卸が医薬分業の進展により現在79社。全体の97%卸経由といわれ、9000の病院、16万の診療所、5万の薬局に1日平均2回以上の配送が常。日本の卸は医薬品の専門商社ですべての機能を自社で保有しているが、これから10年決勝トーナメント。医薬品卸大手4社そろって連結増収増益で折り返し、伸び率トップの同社が注目される。製造、卸、保険薬局、介護事業などすべての分野でオンリーワンビジネスの確立が狙いだ。折から海外でC肝炎治療剤旋風を巻き起こしたギリアド・サイエンシズが日本進出。同社がメーカー物流を一手に受託し、医療機関や保険薬局の流通も主要パートナーに選ばれた。同治療剤「ソバルディ錠」が日本の臨床で96%の治癒率、飲み薬とあって「ハーボニ―配合錠」と併せ上期推定200億円。下期慎重だが予想以上の公算が大きい。画期的な「がん免疫療法」の薬剤で脚光を浴びた小野薬品(4528)との良好な関係も興味深い。昨年10月コラボクリエイト・SDネクスト合併、08年立ち上げた中国の事業順調。厚労省の2015年度均等・両立推進企業表彰で同社の女性管理職育成支援の取り組みが評価され、愛知労働局長優良賞を受賞した。今、来期仕込み大詰め。来年から一段と引き締まる見込みだ。

2016年3月期(連結)は、売上高2兆1573億円(9.5%増)、営業利益180億円(35.9%増)、経常利益348億円(15.6%増)、純利益220億円(16.3%増)に見直した。配当54円(期末27円)の予定。単品単価取引移行のさなか薬価改定、消費増税、ジェネリック使用促進など困難を乗り越えながら、16年度の薬価・診療報酬改定、調剤の抜本的見直しも織り込み済み。前回述べたように、1990年の業界再編、連結、リーマンショックを通じて3位に後退し、今期から巻き返しが始まった。前期末20.9%(薬価ベース)に上がったシェアが今期続伸。10年がかりでトップ返り咲きを目指している。

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