2Qから巻き返し 東洋電機 8月25日 (2015.08.24)
新体制の仕込み2年
本格化目前に中国経済落ち込む
東洋電機(6655)は復調。1Q変圧器が出遅れ2Qから巻き返し。反転の足場を固めた。前期、創業70周年の節目。昨年3月タイ子会社稼働。同8月春日井工場(変圧器事業部)を建て替え、機器・エンジニアリング事業部を神屋(かぎや)に残して本社・事務所を移転集約したばかり。これまで2年新体制の仕込みに追われ、本格化を目前にしながら中国経済の落ち込みに直面した。世界の6割を占めるといわれる中国の昇降機。同社のエレベーター用センサが国内シェア7割でトップだけに悩ましい。現地情報によると、中から上の引き合いが止まり踊り場。今後、中以下の受注競争が流れという。今期連結、海外制御装置関連事業8億900万円(9.1%減)の見込み。1Q2億800万円(70.7%増)計上したが、2Qから流動的になった。日本政策投資銀行によると、2015年度大企業の国内設備投資計画13.9%増(19兆2500億円)。うち製造業24.2%増(1990年度23.6%増)。円安と原油安を追い風にバブル期をを上回る見通し。ところが、14年度の同計画15.1%増に対し実績6.3%増。今回8月から円高に振れ、原油安もマイナス効果が先行しており、計画を下回りそうだ。同社の場合、生産設備支援業種。掛け声こそよく聞くが、価格が厳しく一部の業種にとどまっている現状から、もう一年かかるという。そこで、4月からベテラン社員2人を経営企画本部に専従させて、顧客向けソリューション活動を始めた。これまでの自前主義を顧客本位に改め、懐に飛び込んで問題解決を提案している。一方、空間光伝送装置の通信能力高度化、水中可視光通信、直流小型モータ用制御機器など研究に意欲。エレベータ用光電スイッチ、マルチビームセンサ、PDU盤変圧器など開発製品の改良にも熱心で今後楽しみ。新体制3年目で目鼻がついた。6月24日の株主総会。出席者約40人、1時間程度で質問なし。事実上、ゴーサインが出た。創業に社運をたどると来年から上昇運。松尾社長(42)は今年からでエンジンがかかっている。リードタイム短縮と在庫削減が課題という。
2016年3月期(連結)は、売上高90億7800万円(4.8%増)、営業利益3億8100万円(23.9%増)、経常利益4億2900万円(14.5%増)、純利益2億7700万円(9.5倍)の見通し。70周年記念2円を落とし8円配当(中間4円)の予定。設備投資1億4300万円(前期6億5800万円)の計画で一巡。償却負担も頭打ちだ。このため、太陽誘電(6976)と共同開発した高速水中可視光通信装置や四国電力(9507)グループとライセンス契約に基づく「マジックビー」(無線監視システム)など新製品。中国とタイ子会社の実績が見どころ。自前主義にこだわらずアライアンス、コラボ、M&Aなど連結売上高100億円突破を目指す。徐々に好転が見込まれる。