昭和の風林史(昭和四八年八月七日掲載分)
古典的技法なら戻り売りだが、
市場規模の革命した今、
それが通用するかどうか―である。
「夾竹桃花なき墓を洗ひおり 波郷」
週休二日は、リズムが狂う。
これが毎週だと、相当馴れるまで、
ちぐはぐなぐあいであろう。
仕事も中途半端な感じ出し、
休むにも片付かない気持ちで、
まして相場のほうは、
飲みかけたお酒を中座したような場面もあろうし、
変なことになる。
博多から小倉、
そして下関へ言ってこようと
準備していたが飛行機の切符が買えない。
汽車の切符などは、徹夜して並ぶ。
若い人が遊びに行くのならそれもよい。
八月という月のビジネスの出張は
年年苦痛が大きくなる。
新幹線も大変な乗客である。
子供づれが多いから車内は雑然としている。
そしてホテルもたいがい満員である。
八月という月は仕事の出来る月ではない。
明日は立秋。
毎年、テレビで広島から
原爆慰霊祭の式典を中継する。
ギラギラした暑さを感じさせる。
そしてすぐに終戦記念日。
終戦が一月だとか四月だとか、
そういう時でなくて
八月十五日という暑さのきつい、
しかもお盆であることが
一段と戦争に負けた当時の悲惨さを思わせる。
産地の降雨は旱ばつを解消し
十勝では小豆の作柄九分作が予想されている。
農林省が20日発表をしている作付け面積が
当面関心の焦点になるが
七万ヘクタールを上回るかどうか。
現在のところ
六万九千二百五十五ヘクタール
という見方になっていて
これで平年作だと百七十万俵の収穫。
大場所が中間地帯に移り、
その中間地帯が
旱ばつでやられているから
全道百五十八万俵―
というのが今の時点での収穫予想。
相場のほうは売り方が利食い。
マバラ買い方が投げた。
利食いした売り方が
買いに転換した組もあるし
戻りを売りなおそうと待機している組もある。
買い方の主力は
規制緩和の状況の変化(キッカケ)を
待つ格好である。
市場人気は、去年までの相場なら、
あくまでも戻り売りで、
ここからきつい戻しがあれば
精一杯戻して下げ幅の半値。
その地点から決然売りである。
しかし現在の市場規模では
全値戻しがないとはいえないだけに
戻したら戻しただけ仕掛けにくいし、
下げたら下げただけやりにくい。
全般に、なんとなく精気のない市場であった。
●編集部註
ここで罫線を見る。
七月末のマドが悩ましい。
【昭和四八年八月六日小豆一月限大阪一万七〇八〇円・五五〇円高/東京一万七一五〇円・四五〇円高】