もち合い放れ青天井 マキタ 7月15日 (2015.07.14)
充電式OPEが目玉
シャープの技術応用し補完関係
マキタ(6586)は青天井。三角もち合い放れ。OPEの将来を見越し次のステップに入った。Outdoor Power Equipment=園芸・農業・林業用など屋外で使用する各種工具機器のことで、エンジン式に代わり充電式園芸用品が次の目玉。05年、ニッケル水素電池が主流だった電動工具にリチウムイオン電池を採用して10年。低迷していた国内売上高が前期連結677億円(05年3月期同394億円)に伸びたことからも明らか。充電式ブロワ、チェンソー、生垣バリカンなど推定300億円余りのOPEが世界2兆円といわれる市場で、電動工具と同様2割のシェアを仮説に理想買い。7月7日、7260円をつけ上場来高値を更新した。創業100年を迎えた前期、事実上最高で118円配当(期末100円)を株主総会に報告しており、1915年モーター販売修理を振り出しに58年国産初の携帯用電気カンナを世に送り出し100年のゴール。同時に次の100年をアピールした。2013年に約100億円の第三者割当を引き受けシャープ(6753)と業務・資本提携。小型、防塵、防音、防振、軽量、高出力、環境などセンサーや制御でシャープの技術を応用。中長期に製品と補完関係を築くもので着実に進んでいるという。現在、台数限定の100周年スペシャルモデル「ゴ―ルドカラーリーズ」が人気。常識を覆すAC機並みのハイパワー「充電式ディスクグラインダ」、「同ハンマドリル」、「同ソフトインパクトドライバ」など現場のニーズにこたえている。同社の場合、製品をつくって売るだけでなく、保守・メンテなどサービスの空白地をなくすことが世界シェアアップにつながった。その点、2年前ブラジルパラ州のベレンが出色。1616年から500年の歴史。アマゾン河口にあり人口130万人の州都。マンゴー並木が有名で日本人・日系人約3000人が暮らしている。2014年ワールドカップ、16年夏季五輪開催にもかかわらず一次産品値下がりを受けて経済不振に陥り同業他社が撤退。堀社長(67)自ら出向き販売拠点を立ち上げた。同社は資金(連結株主資本比率84.5%)に余裕があるため、新興国で輸入規制があっても現地在庫で対応できるのが強み。頼りにされ喜ばれ感謝されている。カンボジア(パーツセンター)、ミャンマー(駐在員事務所)のほか、今年1月カザフスタンに現地販売子会社を設立。カザフにはエリート養成大学に日本人の学長。ロシアと中国との利害調整を見越したもので面白い。
2016年3月期(連結)は、売上高4000億円(3.5%減)、営業利益565億円(21.4%減)、経常利益530億円(22.5%減)、純利益360億円(20.5%減)と慎重な見通し。配当は中間18円、配当性向30%を基準に期末決める。設備投資145億円(前期121億円)。研究開発費107億円(同91億円)の計画。国内外、競争激化。落ち込んだロシア経済をはじめ新興国の回復も見込み薄という。しかし、1Q悪くない印象。前期の数量効果約3%、円安137億円を加味して前半上振れ。後半ギリシャ、中国情勢下振れと相殺。2017年まで上昇運が続く。何が起きてもブレず、質実剛健な社風で心地よい。7月31日に1Q発表の見込み。前回述べたように、同社のOPE 進出をたどると、1991年チェンソーメーカーのザックス・ドルマー(ドイツ)買収がきっかけ。以来四半世紀、エンジン式に代わり充電式の普及が見込まれる。米国スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ドイツのボッシュと並ぶ世界3強のひとつ。ギリシャ、中国情勢に一喜一憂をしないのが魅力。カメルーンで豊田通商(8015)が同社の販売代理店を担当するのもいい材料だ。