昭和の風林史(昭和四八年六月十二日掲載分)
天井した感じである。
深い下げが予想できる。
押し目買いの人気が強ければなお深くなるだろう。
「立山のかぶさる町や水を打つ 普羅」
小豆に対する強弱が極端にわかれるところだ。
農林省は
48年度上期の雑豆輸入ワク千二百万㌦のうち
小豆枠を四百万㌦と内定、
この発券作業に入る。
現在予想されるところでは
新穀年度に繰り越される小豆は、
およそ八十万俵ある。
今年がきつい凶作でない限り
供給面に不安はないが
世界的な異常気象を背景とした
海外市場の動向や
国内の思惑的な動きから見て
小豆の輸入枠を
上期から発券することになりそう。
小豆の作付け面積は
七万三千ヘクタールと
二割の増反が言われている。
消費地在庫六十万俵。
本来なら大暴落ものである。
それを一万八千円までかったのは
かならず①異常天候②インフレ下の換物人気
③群小仕手の買い④弱人気の反動―など、
ひとつのムード買いであった。
ここに来て強気は絶好の押し目と見る。
相場のスケールを大きく見て、
押しが深いほど、
次に取りに行く上値二万円台と判断している。
弱気は大天井を打ったと判断し、
元気が出るところ。
戻り売り方針で、
下値を随分深く見ている。
値段の水準も、いいところである。
人気面はかなり強くなっていた。
問題の産地の天候は、
予想される降霜はないかもしれないという。
帯広の積算気温は悪くない。
まだこれから先は長いのだから、
どのような異常が発生するか
判らないけれど、
第一関門の山場は越えつつあるわけだ。
三月10日の天井に対して
六月の10日が急所であった。
その日が日曜に当たったため
六月9日シックス・ナインに
大天井したという見方。
これからは押し目買い人気で、
買われては下げ、
戻しては下げていく深い下げ相場だと言う。
あるいは、
そのような場面が続くかもしれないと
思えないこともない相場環境である。
強気は、12、13日の気温の冷え込みを
支えにしている。
発芽順調とはいえ
十日周期でくる低温は、
成育のさまたげとなろうし、
六月中旬過ぎて霜が降りたこともある。
難しいところである。
天候に賭けて長期戦に持ち込むか。
それとも戻り売りで勝負するか。
●編集部注
小豆相場に星が出た。
売り方は六月9日の足を
北極星のように崇める。
同月15日の罫線もご注目。
ここでも星が出る。
売り方の鼻息が荒くなるのはその三営業日後。
さてその後の相場や如何に。
【昭和四八年六月十一日小豆十一月限大阪一万七三五〇円・七〇〇円安/東京一万七五一〇円・七〇〇円安】