昭和の風林史(昭和四八年五月二十三日掲載分)
小豆は深い押し目が入るところ。
やや買いきった感じがする。
踏みも出たから千円下げか。
「礎もなくて遺跡なり都草 風生」
大阪穀取は21日グランドホテルで総会を開き、
西田三郎理事長が勇退して
(五期十年にわたる長い期間であった)
中井幸太郎氏(中井繊維会長)に
理事長のバトンをタッチした。
中井新理事長は記者会見で
①西田前理事長の路線を継承するとともに
②取引員業者の営業姿勢をさらに改善し
③愛される業界、そして
④今まで以上に安心して取り引き出来る業界にしたい
―と抱負をのべた。
業界も新理事長の決断と実行を期待するとともに
西田三郎氏のこれまでの業績をたたえ、
そしてその労をねぎらった。
さて、小豆相場のほうは
産地の不順な気象現象を眺め
ストップ高に買われた限月もあって、
売り方は辛抱の限界にきて踏んだ。
こうなることは、
およそ予想されていたわけであるが、
現実に先限が一万五千円をつけてみると、
やはり踏まざるを得ない。
五月の下旬も近い時に
〝みぞれ〟や雪が降っては冷害を思わせ、
大衆筋も凶作を予想して強気してくる。
天候のほうは
これから徐々に回復するわけだが、
問題は発芽時期の低温であろう。
相場は①夜放れ高②ストップ高
③売り方の踏み④出来高増大
⑤手亡も買われる―など、やや警戒色を強めた。
目先的には五千円以上は
決定的凶作の現象(発芽後の被害など)を
見ないと買いにくい。
異常気象という現実は
現時点で十割まで買った相場と見られる。
しかも売り方は踏んだ。
きょうあたりからの気温上昇と
作付け面積の増反などから
利食い急ぎとなり、
高値警戒、在庫見直しの場面になりそう。
下げる時は急である。
高値で人気を強くし、
相当買いついているからだ。
46年の時も五月19日、
一万五千五百四十円まで買ったあと
千五百円強を崩している。
ケイ線では千円棒、
あるいは千三百円ないし千五百円を
下げてよい格好だ。
下げたあとどうか、
ここで深い押しが入ると、
その値幅の
倍返しから三倍返しの反騰となるだろう。
手亡にまで買い気が回ると
小豆は反落するものだ。
●編集部注
記事に
西田三郎氏が登場する所に時代を感じる。
北浜にあった西田三郎商店は
煉瓦造りの大正モダン建築で格好良かった。
何で壊したのだろう。
【昭和四八年五月二二日小豆十月限大阪一万四七六〇円・二五〇円安/一万四六九〇円・一六〇円安】