昭和の風林史(昭和四八年五月十一日掲載分)
小豆は初押しである。
四千円抜けのための力をつけた。
手亡も押し目完了。大勢は大相場型。
「またおちてぬれ葉にとまる茄子の花 蛇笏」
小豆相場は大出直りに入っての初押しである。
九月限は四月の新ポの生まれ値三千四百九十円から
二千六百九十円幅を下げて、二千五百九十円幅と
ほぼ全値を大型V字型で戻して、初押し。
当然五、七百円の押し目が入る。
そして次の飛躍の〝段〟をつくる。
とりあえず、押し目幅の倍返しが考えられる。
その地点、九月限の一万四千百円。
帯広測候所が五月下旬北方高気圧が現われ
晩霜の恐れありと予想している。
札幌管区気象台も10日、
五月の下旬から六月にかけて、はだ寒い日が目立ち、
とくに明け方の低温は降霜の恐れがある―と発表した。
きょうの紙面から産地の気温を掲載する。
そして市場の関心は作付け面積に集中する。
中間地帯の早いところでは小豆の蒔き付けが始まる。
十勝の大場所は現在農作業が忙しく
中旬、下旬に蒔き付ける。
現在までの傾向では、
異常天候予想から小豆は自重気味だと伝える。
それに反して大豆が奨励作物になっている事、
シカゴ大豆の暴騰、
世界的な大豆の需要増大などから
20%の増反が期待されている。
だいたい今のところ小豆の作付けは
全道五万八千九百ヘクタール。
六万の数字をやや切るだろうと予想されている。
大手亡は、
昨年二万ヘクタールを割る大幅減反であったが
本年は、さらに減少して
一万六千ヘクタール前後まで落ちそうだ。
さて相場のほうは手亡も
ミシガン・ピービーンズの現行格差三千円を
二千五百円に手直ししよう
という空気(東穀格付委員会)を嫌気して下げた。
台湾小豆の格差も、
品質が良くなっているので縮めよう
という動きがあるようだが、
きょう11日の全国穀取格付委員長会議で
小豆は現行通り、
ピービーンズはやや手直しということになりそう。
しかし白系豆は米国ウインターも
ビルマ・バターも国際価格が高騰していて、
早晩手亡相場にも響いてこようと予測されている。
既にインドの大干ばつが報じられ、
米国大豆の連騰現象も
世界的に雑穀類の価格に影響してきそうだ。
小豆相場は五月末から六月上旬の
低温、晩霜という材料があるため、
先限の三千円割れには抵抗がある。
棒で騰げた相場の初押しである。
手亡も八千五百円以下では
長期思惑の買い物が積極的に介入してくる。
●編集部注
相場格言にある
「初押しは買え」
の場面である。
【昭和四八年五月十日小豆十月限大阪一万二七一〇円・九〇円安/東京一万二七〇〇円・五〇円安】