昭和の風林史(昭和四八年三月二十四日掲載分)
三百円安、五百円安があっても
この(小豆の)相場は、こわれない。
押し目買いでよい。
「春蘭や耳にかよふは竹の雨 草城」
判らん―という人も多い。
なぜ小豆相場は急反騰したのか。
需給関係のみ、
あるいは古来の伝統あるケイ線観を
主とした相場観では、
現在の小豆相場の動きは、とても理解出来ないのである。
まして、(途中に起伏はあろうが)
この小豆が全値戻しでもしようものなら
いよいよ判らなくなろう。
いや、時世である。強烈なインフレ。
そして換物人気。まして天災期を控えている。
しかも他商品の商いが強い規制の下にあって、
専業取引員の営業方針は
残された市場に集中せざるを得ない。
人々は、押したら買おうと思っている。
しかし深押しした時点では、
下値が深く思えて手が出ない。
反発した。さらに伸びる。しかも強い。S高までした。
こうなると押したら買おうの人気になる。
下げに対して
三分の一戻し、半値、三分の二戻しという地点は、
さすが警戒的だが、
相場根本の基調は
やはり一万六千円→八千円→二万円相場を指向しているのである。
さて目先、半値戻し(先限一万五千七十円処)を買って、
三分の二戻し、(五千四百九十円処)を
取ったあと浅く押すか、戻り一杯の格好を見せるかである。
現在までの戻りは窓を開けず着実な伸びであり、
熱狂もしていない。
いうなら、きわめて穏健な足取りである。
願うことは、このような地合いで
一万六千円→一万四千円→一万六千円という
二千円~二千五百円幅の
大きなジグザグ逆張り(高水準での高なぐれ)が続けば
規制を強化する必要もなく市場も結構繁昌する。
天災期に入るまでは時間待ちの、
そういう動きを誰しもが期待するだろう。
筆者は、東証ダウの高値での
今のような動きに似た格好になるのではないかと思っている。
相場は材料であるが材料ではない。
特にこれからの相場は人気である。
三百円安、五百円安が今の相場で出現しても、
相場基調は、こわれない。
S安込みで二千五百円もぶっ叩いても、
なんら、こわれなかった小豆である。
三百円安、五百円安、あるいは七百円のS安であろうと、
買い方針に変わりはないのだ。ともかく判りやすい動きである。
●編集部注
罫線は正直である。
簡単に言ってしまうとこの相場は、
売り方と買い方の一万四千円という陣地の獲り合い
といえば判りやすいのではないか。
【昭和四八年三月二三日小豆八月限大阪一万四八九〇円・一六〇円安/東京一万四七六〇円・一三〇円安】