証券ビュー

アンコール伊勢町

震災4年後に昭和恐慌    想像力なしに何も得られない (2011.09.09)

  7日NYダウ大幅反発を受けて高寄り。次第に伸び悩んだ。同日ドイツ連邦裁のギリシャ支援実行分合憲、今後1件ごと承認必要に見合うもの。兜町は冷静である。寄り前発表された7月の機械受注統計前月比8.2%減も響いた。むしろ、米欧の株高は金融システム不安に過剰反応。「日本化」どころでないケタ外れのスケールに対し、日銀総裁も7日の会見で下振れリスクを重く受け止め、政策対応は限られると述べた。9~10日、フランスのマルセイユでG7。その場しのぎ、時間稼ぎ、大本営発表になるとみられ、20~21日のFOMCも場合によって追加緩和の但し書きが入る見込み。つまり、株を持ち上げ現体制の延命を図っているが、3次緩和に踏み切ったところでインフレの副作用。バランスシート不況に伴う需給ギャップは、少なくても10年や20年調整が必要で、延命にこだわると命取りになる。このため、日本もそれなりの政策対応が不可欠。9月から櫻川教授の円建て外債20~25兆円発行を紹介しているわけで、外貨準備約90兆円を担保に海外から資金調達。並行して現在シェア2割にとどまる円の国際化を促すもの。外国から借金すれば財政規律が締まるのも道理。国内消化にとらわれると、あと2、3年で行き詰まる。現政権は首相の運勢から見て8~9月、来年2~3月がピーク。これから半年最後の円高と述べたが、復興を大義に国レベルのサムライ債が出るかどうか注目される。ちなみに、日本政策投資銀が公表した震災の直接被害16兆円。ある程度信頼できるが、80~90年代地元の大物代議士により過大な公共投資が上積みされたことも事実で過大。企業救済も民主党による安易なばらまきが予想され要注意。6日述べた関東大震災の4年後、昭和金融恐慌が起きた。混乱に乗じて震災と直接関係ない手形が大量に持ち込まれためだ。1927年、若槻内閣の片岡蔵相が衆院予算委員会で「東京渡辺銀がたった今破綻しました」と述べたのがきっかけ。一旦収束したものの、鈴木商店が倒産し台湾銀が休業に追い込まれるとお手上げ。昭和恐慌は犬養内閣で収束し、蔵相高橋是清が片方だけ印刷した200円券を大量に増発し、金融機関の店頭に積み上げて取りつけを吸収した。要するに、復興は新たな不良債権を生む危険がある。ビジョンがないまま助けようという気持ちだけで復興資金を投入しても昭和恐慌の二の舞。政治がしっかりしないと駄目のようだ。

 

日経平均は29円高。伸び悩んだものの続伸。戻り待ちの売りをこなした。出来高14億6200万株、売買代金9600億円。1兆円割れは7月25日以来という。依然として指数採用銘柄中心の大味な展開。米欧では指数銘柄がかさ上げし、周辺銘柄は放置されている模様。日本でも似たような動きが予想される。■■■■(****)49万2500円、■■(****)34万6500円、「日本郵政」など国の売り出しを見越して高い。これまでの経緯を見ると、売り出しで底を叩くケースが多い。■■■■(****)が1169円と半端な水準。1020円ないし870円まで振ってくる。■■■■■(****)111円、■■■■(****)298円も増資強行のツケが残っている。指数銘柄と割り切れば、■■■(****)1800円、■■■■■(****)9530円、■■■(****)2440円が目安。複数のプロジェクトを立ち上げた■■■■■■(****)397円に注目する筋がある。想像力なしに何も得られない相場である。(了凡)