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企業レポート

嵐の前の静けさ  中部鋼鈑  3月4日 (2015.03.03)

上方修正し小康状態 

値下げに備え差し引きプラスに

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中部鋼鈑(5461)は予想以上。2Q発表前上方修正し3、4Q小康状態。先行き慎重な見通し。昨年10月から3割前後値下がりした鉄スクラップに対し、これまで製品価格が安定しているためで、トヨタ(7203)が2月17日鉄鋼大手と合意した鋼材価格据え置きの影響が大きい。2014年度下期のほか15年度上期も「特例」といわれ、電機大手をはじめ他の業界が追随すると限らず、部品メーカーや政府の意向に配慮した面もうかがえる。上方修正は、消費増税前駆け込みの反動で数量が2.7%落ち込む一方。スクラップと電力料金値上げを受け入れ小刻みな単価引き上げ(10.5%)が浸透。スクラップの下落が見込みを上回ったもの。直近穏やかに見えるが、スクラップの国際指標といわれる米国のトルコ向け輸出価格が2月上旬から50ドル以上下落してトン240ドル。鉄鉱石も中国向け豪州産のスポットが63ドル前後で昨年2月の半値。原油や天然ガス、石炭などエネルギー価格の反動安と連動するもので、今後予想される鋼材値下げに備えスクラップや電力料金など兼ね合いで差し引きプラスに持ち込む構え。厚板の推定シェア5%。12年3月期から無借金になり自己資本比率88.7%(2Q連結)だけに、国内50有余といわれる電炉メーカーの中で比較的確り。今期50万トン台前半(前期57万トン)で着地を探り、来期の予算を組む模様。新日鉄住金(5401)が3Q連結6%増益、JFE(5411)も20%増益となり、15年度の粗鋼生産1億1000万トン強と前年度並みの見通し。省力化投資一巡とはいえ、03年連鋳機更新(65億円)を口火にスクラップヤード・圧延工場増築、圧延基盤整備、一連の耐震補強などこれまで10年の累積効果。昨年8月AWC(自動板幅制御)を導入し、製品の寸法、精度、歩留まり向上。採算の改善に貢献している。連結子会社のレンタル、物流、エンジニアリング事業揃って黒字。従来グループの資金を一元管理していたが、今後めいめい自前の設備投資を促す考え。親会社にない補修、保守、メンテナンスなどサービスの需要が拡大している。

2015年3月期(連結)は、売上高445億円(0.4%減)、営業利益19億円(2.1倍)、経常利益同(同)、純益12億円(3.1倍)と昨年10月修正発表通り。事実上、3Qで実現している。修正が必要となればルールに従って開示する。配当は期末未定(中間4円)。設備投資20~25億円(前期28億円)の計画。償却を下回るもので生産調整が気掛かり。経産省によると、1月の粗鋼生産902万トン(4%減)で5ヵ月連続マイナス。2月も前年割れで1~3月2730万トンの見込み。景気減速が続く中で中国の構造的な過剰生産(昨年8億2270万トンで最高)が気になる。国内で消化できず輸出に回す量が日本の生産を上回る事態。ロシアも輸出にはけ口を求めており、中国人民銀行が2月28日3ヵ月振りに0.25%追加利下げした。新たに中長期スクラップ安、電力料金値下げも考えられるが、嵐の前の静けさが続いている。

 

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