昭和の風林史 (昭和四八年二月二日掲載分) (2015.02.06)
急落またよし 押し目買い態勢
反落また楽しからずや。深押し待ち。
下げればまた高い。
小豆、手亡とも大勢買いだが押し目待ち。
「春めきてものの果てなる空の色 蛇笏」
新ポは警戒されながらも小豆、手亡は買われた。
小豆七月限は一気に一万三千五百円肉薄。
手亡七月限も九千五百円に棒立ち。
大勢的には小豆の一万五千円から一万七千円の相場。
手亡の一万一千四円、五百円という値段が目標になる。
ただ、目先的には小豆も手亡も、
ややきつい押し目が入ってもよいのではないか。
いや、押し目が入ったほうが先行きさらに相場が大きくなる。
このまま、ズンズン相場が高ければ、
案外短命に終わり、押しが、より深くなるだろう。
小豆の一万三千五百円は一応の目標値である。
やはり敬意を表し、
利乗り玉は利食いするのが相場に対する礼儀のように思う。
相場は、まだ二月である。先は長い。
いま、勢いに乗って値を出しきっては、
あらゆる面で風当たりがきつくなるだろう。
弱気する場面ではないが慎重になるべき地点だと思う。
これがもし、なんらかの軟材料出現で
急落(場合によってはS安)でもあれば、
もとより断固買いで、絶好の押し目をつくる。
手亡にしても、
八千円から押し目なしに棒で上げただけに、
相場としては押し目を入れるところで、
その押し目が浅かろうが、深かろうが、
やはり買い場になるのだ。
見ていると市場は、相場にふり回されている。
古い相場経験では、今の動きが全く理解出来ないのだ。
だが、相場は相場に聞けという。
相場のこの勢い(それは小豆、手亡を問わず)を
見ておれば、今年の穀物相場は、
とんでもない大きなものに発展していきそうだ。
国際的な豆類の高騰そして世界的な天候不順。
インフレによる換物運動。尨大な投機資金。
規制でしばられた他商品からの思惑移動。
理くつではない。現象であり感覚である。
投機は決断と実行である。
小豆は大勢一万五、七千円目標。
しかし当面は深押し待ち。
崩れよし、ぶっ叩きよし、時にS安も可なり。
要は買い場待ち。
手亡も大勢一万一千四百円。
なれど反落待ち。暴落また楽しからずや。
●編集部注
朋あり遠方より来る、また楽しからずや―。
論語よりの一説である。
紀元前5世紀頃の〝遠方〟から
朋友が来た嬉しさは、今の比ではない。
その当時の嬉しさと、
相場の読みがピタリ当った時の嬉しさは、
ひょっとして同等かも知れない。
【昭和四八年二月一日小豆七月限大阪一万三二六〇円/東京一万三三三〇円】